家の全面リフォームを考えたとき、気になるのが費用面ではないでしょうか?
部分的なリフォーム予算を考えるときには平均費用を参考にするのが一般的ですが、全面リフォームとなると、話は別です。
たとえば、コンパクトかつ最低限のリフォームで済ませるなら300〜500万円で収まることもありますが、断熱や耐震リフォームも行うと、1,000万円を超えることも。
家の面積や状態、設備仕様、内装材などによって、費用が大きく変わってきます。
そこで本記事では、見積もりデータから見る全面リフォームの費用目安をはじめ、費用を左右するポイント、抑えるコツまで徹底解説します。
全面リフォームをお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
1.全面リフォームの費用相場【戸建て/マンション別】
まずは『リフォームガイド』が調査したデータをもとに、全面リフォームの価格分布から相場をお伝えします。
1-1.データで見る戸建ての全面リフォーム費用
戸建住宅の全面リフォームにかかる費用は、300万円未満から2,100万円まで、かなりの費用幅がありました。

価格分布表と築年数別の費用相場を見てみましょう。
| 築年数 | リフォーム内容 | 費用相場 |
|---|---|---|
| 築20年 | 床材・壁紙・設備類の交換、屋根・外壁塗装 | 500万円前後 |
| 築30年 | 内装材・設備類の交換、屋根・外壁塗装 | 1,000万円前後 |
| 築40年 | スケルトンリフォーム | 1,500万円前後 |
平均値から考えるなら、予算は700〜900万円ほどは見込んでおきたいところ。
ただし、内装の交換や設備を交換するだけのリフォームなら、住宅全体でも600万円以内には収まるケースがほとんどです。
一方、間取り変更や断熱・耐震リフォームなどを行うために、内装を骨組みの状態まで解体する『スケルトンリフォーム』をするなら、費用は一気に跳ね上がります。建物の面積にもよりますが、1,000万円以上はかかるでしょう。
スケルトンリフォームとは?どんな時に選ぶ?費用・事例など徹底解説
1-2.データで見るマンションの全面リフォーム費用
マンションの全面リフォームにかかる費用は、350万円以下から1,450万円と、戸建住宅と同様にかなりの差がありました。価格分布表と内容別の費用相場を見てみましょう。

| リフォーム内容 | 費用相場 |
|---|---|
| フルリフォーム | 450~860万円 |
| スケルトンリフォーム | 650~1,450万円 |
マンションで部屋の劣化が気になるときには、内装材や設備、配管類などを交換するフルリフォームを行うのが一般的です。施工面積や仕様にもよりますが、費用は350〜500万円で抑えられる場合がほとんど。加えて軽微な間取り変更を行っても、1,000万円以内で収まるでしょう。
一方、内装材をコンクリート躯体まで解体する『スケルトンリフォーム』になると、費用は650〜1,450万円と、一気に跳ね上がります。
マンションの全面リフォームでは、室内の状態よりも施工面積と仕様によって費用が決まる点を覚えておきましょう。
マンションのフルリフォームの費用相場と事例。予算内でどこまでできる?
1-3.坪数・面積別の全面リフォーム費用相場
全面リフォームの予算を決めるときに目安となるのが、1坪または1㎡あたりの施工費用を示す『坪・㎡単価』です。
戸建住宅では坪単価で算出されることが多く、目安は30〜50万円/坪ですが、80万円を超えるケースもあります。一方、マンションは㎡単価で算出されることが多く、10〜15万円/㎡が目安です。
まずは自宅の面積と坪・㎡単価から、スケルトンリフォームを行うときの、おおよその費用を考えてみましょう。
| 坪数 | 費用相場 |
|---|---|
| 24~30坪 | 800~2,000万円 |
| 30~36坪 | 1,500~3,000万円 |
| 36~45坪 | 2,000~4,000万円 |
| ㎡数 | 費用相場 |
|---|---|
| 60~70㎡ | 600~1,000万円 |
| 70~80㎡ | 800~2,000万円 |
| 80~90㎡ | 1,000~3,000万円 |
【Point!】坪・㎡単価はリフォームごとに違う!
坪・㎡単価はリフォーム会社ごとに異なり、標準仕様のグレードが高い会社ほど、単価も高くなる傾向があります。
逆に低グレードを標準仕様としている会社は、初期見積もりは安くなります。そのため価格だけを見てリフォーム会社を決めると、グレードを変えただけで費用が跳ね上がってしまうことも。
見積もりを比較する際には、単価だけではなく、標準仕様のグレードの確認もしておくと安心です。
2.築年数・構造・階数による全面リフォーム費用の違い
前章では全面リフォームにかかる費用目安を説明しましたが、築年数・構造・階数などの建物の条件によっても費用が変わってきます。
2-1.築年数が古いほど全面リフォームの費用は高くなる

リフォーム履歴にもよりますが、戸建住宅では築年数が経つほど住宅の劣化が進んで修繕箇所が増えるため、フルリフォームにかかる費用も高くなる傾向があります。
築年数別の費用目安は、以下のとおりです。
| 築年数 | 費用相場 |
|---|---|
| 築10年 | 50~100万円前後 |
| 築20年 | 300~500万円前後 |
| 築30年 | 1,000万円前後 |
| 築40年以上 | 1,500万円前後 |
築10〜20年なら内装材や設備のみの軽微なリフォームで済むことが多いので、1,000万円以内で収まるケースがほとんど。しかし、築20年を超えたあたりから、構造や配管部の修繕・交換や耐震補強や断熱改修なども必要になってくるため、費用も高くなる傾向があります。さらに、階段の架け替えや増築・減築、スケルトンリフォームなどで『建築確認申請』が必要になると、審査費用も必要になるため1,000万円を超えるでしょう。
築年数別のリフォーム内容については、下記コラムに詳しくまとめていますので、ぜひこちらも参考にしてください。
フルリフォームの費用相場|戸建て・マンション別の相場と施工事例
2-2.RC造・木造など構造によっても費用が変わる
住宅の構造も、費用を左右する要因のひとつです。
木造:解体しやすく壁や柱の変更が容易。もっとも費用を抑えやすい
鉄骨造(SRC造):鉄の補強・溶接が必要になると、費用が高額に
鉄筋コンクリート造(RC造):構造制約が多く、単価自体が他より高額
解体が難しい構造ほど現場での作業工程や人員が増えるため、工事単価が高くなる傾向があります。とくにRC造の住宅は、壁の一部を撤去するだけで費用が数十万円跳ね上がることも。SRC造やRC造の住宅なら、1章で紹介した目安より少し予算を多めに見積もっておいたほうがよいでしょう。
鉄筋コンクリート住宅のリフォーム完全ガイド|費用相場から成功事例まで解説
2-3.1階だけ全面リフォームする場合の費用目安

老後の暮らしのために、1階部分のみをリフォームする方も増えています。
築年数が経った家では「全体をきれいにしなければ」と思いがちですが、メインとなる居住スペースだけに全面リフォームの範囲を絞れば、費用を大きく抑えられます。
| 工事範囲 | 費用相場 |
|---|---|
| 水まわり設備の交換 | 500万円以下 |
| 設備、LDK内装、断熱改修 | 600~1,000万円 |
| 1階全体をリフォーム | 1,000万円前後 |
キッチン・浴室・洗面・トイレなどの水まわり設備の交換のみなら、500万円以下で済む場合がほとんど。最新設備を取り入れれば、安全性と快適性を確保できます。
ただし、老後の暮らしを考えるなら、1階全体のバリアフリー化や断熱改修まで行っておくほうが安心です。費用面に関しても、個別にリフォームを繰り返すよりも一気に済ませたほうが、トータルコストを抑えられます。
2-4.2階以上の階だけ全面リフォームする場合の費用目安

「1階は数年前にリフォームしたから、次は2階をリフォームしたい」というときには、2階部分だけをリフォームする選択肢もあります。設備の交換がなければ、1階部分のリフォームよりも費用を抑えられる場合がほとんどです。
使わなくなった子ども部屋を書斎や自室へとリフォームしたり、ランドリールームを設けたり、さまざまな改修方法があります。
| 工事範囲 | 費用相場 |
|---|---|
| 内装のみの交換 | 50~100万円 |
| 間取り変更、設備追加 | 100~300万円 |
| 全面改修、耐震補強 | 300万円~ |
| 防音室への改修 | 150~550万円 |
壁紙や床材のみを交換する軽微なリフォームなら、費用は100万円以内で抑えられるケースがほとんど。間取り変更や設備変更などを行うと100〜300万円、全面改修に耐震補強を追加すると、300万円はかかるでしょう。
また、既存の個室に防音材を施工して、ホームシアターやピアノやギターなどの楽器用の防音室をつくることも可能です。ただし、内装リフォームよりも費用は高額になります。
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