[1] 流産や死産について正しい知識を身に付ける
流死産は決して珍しい出来事ではなく、実際には多くの方が経験しているという事実を理解することが第一歩。話題に上りにくいため、見えていないだけである、と知っておくことが、当事者への理解と支援の基盤となる。流死産を繰り返していても、適切な検査や治療により、高率に子どもを持つことがでできることも重要な情報である
[2] 流産や死産妊娠中絶にまつわる話題を受け止める
当事者が流死産や周産期喪失のことを話そうとしているときは、助言や励ましではなく、受け止める姿勢が重要。思いやりのつもりで流産や死産の話題を避けてしまうと、当事者がより深い孤立感を抱く場合もある。無理に聞き出す必要はないが、「話を聞くからね」と声をかけるだけでも支えになる
[3]流産や死産への理解を広めることを応援する
流産や死産は多くの人が経験する可能性がある一方で、社会全体での理解が不足している。教育の中こうした内容が取り扱われるよう働きかけることや、市民公開講座で、流産や死産について知ってもらうことは、将来的な社会の意識変化を促す重要な取り組みとなる
編集部の家族に周産期喪失の経験者がいたことが、今回取材するきっかけになりました。流死産を経験した方々の実態が社会であまり知られていないことに気づき、当事者の声に耳を傾けたいと考えました。
最も印象的だったのは、当事者が亡くなった赤ちゃんのことを話したくても、周囲の配慮によって話題が避けられがちであるという現実。まずは身近な人の話を傾聴することから始めて、誰もが安心して悲しみを表現できる社会をつくっていくことができればと思います。
中塚幹也(なかつか・みきや)
医学博士。岡山大学学術研究院保健学域教授。。岡山県不妊専門相談センター「不妊・不育とこころの相談室」センター長。専門領域は生殖医学、産婦人科医として30年以上にわたり不妊・不育症治療に従事。流死産カップルの支援を行うほか、性別違和の悩みを持つ人のための専門機関である岡山大学ジェンダークリニックにて開設時より診療を行う。また、Yahoo!ニュースエキスパート「生殖とジェンダーの今」で発信をしている。