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先進国のなかで一人負け…“名目GDPが28年間でマイナス24%”の日本、「国内生産」より「海外投資」に注力し過ぎた末の悲劇

先進国のなかで一人負け…“名目GDPが28年間でマイナス24%”の日本、「国内生産」より「海外投資」に注力し過ぎた末の悲劇

名目GDPを先進国で比較すると、もはや一人負け状態にある日本。「海外投資」に力を入れ続けたことで、30年間も経済が停滞する「失われた30年」に陥ってしまった。一方、国内生産に力を入れたドイツは、賃金、輸出産業、失業率など多くの領域で成長を見せた。同じものづくりの国で明暗を分けた理由とは。本記事では、岩本晃一氏の著書『高く売れるものだけ作るドイツ人、いいものを安く売ってしまう日本人』(朝日新聞出版)より、日独の経済パフォーマンスを、さまざまなデータをもとに比較・解説する。

先進国で一人負けの日本━━各国GDP比較

日本とドイツのマクロ・ミクロの経済パフォーマンスの比較によって、同じものづくりの国でありながら、近年の経済成長に差が出ている日本とドイツの違いを明らかにする。

両国の経済活動の結果、表れてくる各種データを比べてみるだけで、同じものづくりの国とは言っても、日本とドイツの産業構造・産業組織が大きく異なっていることに気づくだろう。

これから紹介する数字は、1995年を起点としている。なぜなら、日本の「失われた30年」は1995年を起点として発生しているからだ。1995年はインターネット元年とも言われている。

日本の名目GDP(IMF統計)を見ると、1995年が5兆5460億ドル、2023年が4兆2130億ドルとなっていて、28年間でマイナス24%となっている。1995年以降、多少の高低はあるものの、ほぼ一定水準を維持してきたが、近年の円安の影響で、ドルベースに換算した数字が低下している。

一方、ドイツの名目GDP(IMF統計)は、1995年が2兆5950億ドル、2023年が4兆5270億ドルとなっていて、28年間で、プラス74.4%となっている。1995年以降、多少の変動はあっても、着実に増え続けている。

そして28年前に日本の47%しかなかったドイツの名目GDPが、その28年後、日本に追いつき追い抜いたのである。では、他の国々はどうなっているのだろうか。

1995年から2023年の28年間に世界各国の名目GDPは、アメリカがプラス263%、中国がプラス2378%、インドがプラス910%、イギリスがプラス151%、フランスがプラス92%と増えている。中国の成長が驚異的であり、インドの増加も著しい。

だが、かつて「英国病」と呼ばれ、職にありつけない若者が大量に街を彷徨して社会がすさんでいたイギリスでさえ、2倍以上に増えている。欧米先進国は、1995年から2023年の間、大体2〜3倍に増えていると言える。その中にあって、日本だけが先進国の中でまるで走りを止めたランナーのようである。

貿易大国であり、輸出大国のドイツ

日本の低迷とドイツの成長を、図表1にある輸出と輸入の観点で比べてみよう。 

[図表1]輸出入額の日独比較


注目したいのは、ドイツの輸出の多さと伸び率の高さである。ドイツは「日本の3分の2サイズの国」でありながら、日本の2.37倍(2023年)の輸出がある。ドイツの輸出の伸びは、1995年から2023年の間に3.25倍となっており、日本は同期間に1.62倍である。輸出の伸び率はドイツの方が圧倒的に大きい。

2023年の貿易総額(輸出+輸入)で見れば、ドイツの3兆1700億ドルは、中国、アメリカに次ぐ世界第3位の数字であり、世界第5位の日本は1兆5030億ドルにすぎない。比較すると、ドイツは日本の2.1倍ある。また、名目GDPに占める輸出の比率(2023年)を見ても、日本は17%であるのに対し、ドイツは38%である。

つまり、ドイツは「貿易大国」であると言ってよい。そうした貿易を可能にしているのが、世界に冠たるドイツの「ものづくり」なのである。

かつて、日本は「加工貿易の国」と言われた時代があった。外国から原材料を輸入し、加工し、外国に輸出して外貨を稼ぐことにより、日本国民が生活していることを象徴的に表現した言葉である。

だが、時代が経つにしたがって、日本からの輸出はさほど伸びず、ついに貿易収支はマイナスになった。逆に増えたのが、海外生産によって得た利益である。海外で得た利益の一部を海外で再投資し、一部を日本の本社に送金する。こうして得た利益を、日本国内で付加価値を創出する投資に回さず、雇用も生み出さなかった。

そうして日本企業の内部留保、正確には利益余剰金が2023年度末に600兆9857億円となった。そこに、株高、ゼロ金利、円安などが重なり、一部の企業、一部の個人にのみ、お金が溜まるという現象となって現れた。

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