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「子どもの小学校受験がきっかけで離婚…」結婚12年、妻が夫に離婚届を突きつけたワケ

「子どもの小学校受験がきっかけで離婚…」結婚12年、妻が夫に離婚届を突きつけたワケ

今週のテーマは「突然妻が『妻を辞めます』宣言した理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:結婚12年、突然、離婚宣言してきた妻。娘は私学に通い、お金に余裕もあったのになぜ?



「私、妻を辞めます」

夫にそう宣言した途端に、この12年間ずっとつっかえていたものが…全身にずしりとまとわりついていた鎖が、スーッと取れていくのを感じた。

まるで羽が生えた気分だ。

しかしそんな私とは対照的に、夫の鉄二は、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。

「へ?ごめん、何を言ってるの?」

その顔を見て、私はさらに決意を固めて離婚届を突きつけた。

「私、本気だから」

しかし離婚届を見てもなお、鉄二はちんぷんかんぷんな顔をしている。

「いや、夏希。ちょっと待って、冷静になって」
「私はいつも冷静だよ。結婚して12年、もうウンザリなの」
「華恋はどうすんだよ?」

その言葉を聞いて、私は大きなため息しか出てこなかった。

「それは変わらず、一緒に育てます。ただ、あなたの妻を辞めます」


A1:子育てに関して、他人事すぎる


鉄二と出会ったのは、知人が開催した食事会だった。

あまり期待せずに参加したが、鉄二を見た瞬間、何か感じるものがあった。

日系証券会社勤務でスマートな印象の鉄二は、かっこよくごく自然に惹かれていき、彼からの強烈なアプローチもあり、交際へと発展していた。

当時29歳だった私は日系のコンサル会社に勤めており、仕事も楽しく恋愛も順調で、まさにノリに乗っていた気がする。

そして交際から2年経った時。ハワイで鉄二がプロポーズをしてくれた。あの時は嬉しくて嬉しくて、泣き崩れたのを今でも覚えている。

そして籍を入れてすぐに妊娠し、1年後に娘の華恋を出産…と、順調すぎるくらいに私たちの結婚生活は過ぎていった。



結婚すれば、何かしらの関係が変わるもの。

夫婦だから多少のケンカがあっても、仕方ないと思う。それに結婚生活が長くなるにつれて、違和感が生まれてくるのも当たり前のこと。

…そう思っていた。

しかし子育てとなると、話は変わってくる。鉄二は華恋の子育てに関して、どこか他人事だった。

薄々感じてはいたけれど、華恋の小学校受験の時に確信した。

「華恋は女の子だし、早めに受験させて、エスカレーター式で上まで行かせた方が絶対にいいと思うの」

私は、華恋に受験をさせたかった。しかし一方の鉄二は自分自身も公立出身のため、受験は不要だという。

「別に公立で良くないか?」
「公立と私立だと全然違う。絶対に、私立へ行かせたいの」

ここまでは良かった。しかし次の言葉に、鉄二の本音が見えてしまった。

「そんなに言うなら、夏希が受験すれば?僕は、金は出すけど」

― ……は?

呆れて何も言えなかった。そして怒りと同時に、悲しみも込み上げてくる。

「何その言い草。あなたの子どもでもあるんだから!」

結局、男なんてこんなものなのだろうか。一緒に子育てをしているはずなのに、どこか他人事。「金出しているからいいだろ」的な態度も腹立たしい。

「もちろん僕の子で華恋の幸せを誰よりも願っているけど…。日中は、現実的に僕は見れないし。それは夏希の役割でしょ?」

私は結婚して、華恋が生まれてから仕事を辞めた。



辞めなくても良かったかも、と今なら思う。

子育てと仕事の両立が難しかったこともある。でも何より鉄二の「母は家にいろ」的な無言の圧に耐えられなくなり、辞めることになった。

最終的には自分で決断したことなので、このことで鉄二を責めるのは違うと思っているから、私は何も言わないようにしていた。でもこんな言い方をされて、心が腐らないわけがない。

「なんでそんな言い方しかできないの?好きで仕事を辞めたわけじゃないのに」
「そうかもしれないけれど、実際に稼いでいるのは僕だし、僕の方は、仕事は辞められないよ」
「仕事辞めて、なんて一言も言ってないでしょ…」

このケンカはヒートアップしたが、最終的には鉄二が折れて華恋は小学受験をすることになった。

そして必死の頑張りもあって志望校に見事合格できた華恋。

「華恋、よく頑張ったな〜」

合格した当日、鉄二は華恋を抱えながらそう言った。でもそれを見て、私の中で安堵の気持ちとともに、鉄二に対する違和感はさらに膨れ上がっていった。


A2:ママの役割はいい。でもあなたの面倒はもう見たくない。


でも、私たちは家族だ。だからそんな違和感を抱えたところで意味はない。

それに私は結婚している。母であり、妻だ。そういう役割を担っている。

― こんな不満、持つことがおかしいよね。

交際当時は日系の証券会社勤務だったけれど、今では外資系のコンサル会社に転職し、さらに給料が上がった鉄二。生活は全部面倒をみてくれているし、私が文句を言える立場ではない。

しかし忙しくなった鉄二は出張も多くなり、そのたびに荷造りなどは私がすることになっていた。

「明日の出張の用意、お願いしていい?」
「わかった」

準備だけではない。帰ってきてから荷物を解いて、洗濯して、それを畳んでしまうのも私の仕事だ。

それも、妻だから仕方のないこと。

「これは、妻の役目だから」

何度も何度も、自分にそう言い聞かせていた。



あと鉄二は家に帰ってからの晩酌が好きだった。もちろん、食事の用意は私がする。それは家にいるから当然のことだ。

「本当に助かる、ありがとう。夏希はいい妻だな」

毎回、鉄二はちゃんとお礼を言ってくれた。それはとても救われるけれど、鉄二は本当に何もしない。

「そういえば、冷蔵庫のビール切れてるかも」
「そうなの?補充しとかないとだね」
「うん、頼んだ」

― ビールの補充すらできないの?

「私は華恋以外に、大きな子どもを育てている」。

そう割り切って生活することで、私はどうにか自分を保てていたのかもしれない。

でももう耐えられなくなったのが、私がこの日、仕事復帰を切望した際の鉄二の態度だった。

「夏希は?飲まないの?」
「じゃあ一杯だけ。そういえば、そろそろ仕事復帰しようかなと思って」

そう言うと、鉄二は心底驚いた顔をした。

「そうなの?なんで?華恋だってまだ小さいんだし、母親が側にいてくれた方がいいんじゃないの?お金は僕がなんとかするし」

― この家に私の人権は、ないのだろうか。

母としての役割を担えるのは本当に幸せなことだし、娘は私の人生において何よりも大事な存在。娘ファーストだし、それは変わらない。

でも自分の居場所が欲しい。家庭以外に、自分の居場所が必要だった。

「うん、それは感謝してる。でも金銭面のことじゃなくて、私もそろそろ復帰したいなと思って」
「そうなんだ…」
「大丈夫。華恋の送り迎えとかには支障がないようにするし、今までのように家のことはするから」
「それだったらいいんじゃない?」

結局は仕事復帰を認めてくれたが、現実は、そんなに甘いものではなかった。



仕事をしながら子育てをし、食事を作って家事をする…。それは想像以上に大変だった。

でも、朝に家を出る前に夕食の下準備をしたり、週末に作り置きをしたり…。「手を抜いている」と鉄二に言われないように最大限に努力していた。

しかし鉄二は、作り置きをまったく食べない。

さらに家事をアウトソーシングしようとすると、鉄二は信じられないようなことを言い始めた。

「それだと本末転倒じゃない?稼いだお金で家事をアウトソーシングって…もったいなくない?」
「私のお金なんだから、どう使おうと勝手でしょ?あなたのお金からは出してないんだから」
「そうだけど…」

ここで、私の中で何かが終わった気がする。

私は、華恋の母親だ。でも鉄二の母親ではない。

パパとママとしての関係性は続ける。それは娘のために。でも鉄二の面倒を見て、そして自分を失っていくのはもう耐えられないと思った。

― 自分を取り戻そう。自分の人生を、生きよう。

でももちろん、娘に悲しい思いはさせたくない。それにもう顔を見たくないほど鉄二のことが憎かったり、嫌いなわけではない。

ただもう面倒を見切れない。夫の子守はもうウンザリだ。

だから私は“妻”だけを辞めることにして、三行半を突きつけた。


▶【Q】はこちら:結婚12年、突然、離婚宣言してきた妻。娘は私学に通い、お金に余裕もあったのになぜ?

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配信元: 東京カレンダー

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