工夫とアイデアに溢れた台所を訪ねた&Premium145号(2026年1月号)「料理好きの台所」より、会社員・佐古 加奈子さんの台所を紹介します。


家事の動線を一直線におさめる。
神奈川・辻堂の山の中、赤い屋根の一軒家が見えてくる。絵本『ちいさいおうち』を連想させるかわいらしい外観に惹かれて、佐古加奈子さんが築45年のこの家に引っ越してきたのは約4年前。
「家と家の敷地の間隔が広く、自然に囲まれていて、庭もそれなりにあるところがいいと思って、ずっと戸建てを探していました。場所を限定せずにいろいろな物件を見た結果、ここに辿り着きました」
2階建ての1階に台所、ガレージ、リビング、寝室とバスルームがあり、生活のほとんどは1階で完結。もともとの台所は現在、夫がガレージにしている土間にあったが、それを佐古さんの希望で、和室だった空間に移動。理由は、外の風景を見ながら料理をしたかったから。
「それは譲れないポイントでした。なので、アイランド型はまったく頭になかった。緑を感じながら料理することでリラックスもできます」
そして、もう一つ印象的なのが、ガス台やシンクの延長線上に、洗濯機とガス乾燥機を設置したこと。水回りを一つの場所にまとめることで、家事の動線もスムーズになる。
「ビルトインにするとメンテナンスが大変になりそうだったので、どちらも置き型にして、それをコの字にタイルで囲いました。ここは、調理の作業台にもなります」
タイル台の上の壁づけ棚には食器を収納。佐古家の食器はこれですべてなので、何があるか一目でわかり、取り出しやすいのも特徴だ。
「扉のある収納がなく、食器や道具類のすき間にアートも置いているので、いろいろなものが目に入り、人によってはごちゃついているように見えるかもしれません。でも、それが私にとっては心地いいんです」





佐古加奈子会社員
多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業。現在、〈toolbox〉にて東京・目白ショールーム担当。夫と息子の3人暮らし。趣味でペイントも続けている。
photo : Masanori Kaneshita edit & text : Wakako Miyake

COOKING LOVERS’ KITCHENS / 料理好きの台所。&Premium No. 145
かつて住まいの裏方であった台所は、いまや家づくりの軸となる、暮らしの中心にある存在になりつつあります。いい台所は、使い勝手のいい台所。使う人が自分自身の勝手にあわせて工夫をするのです。そして自分の勝手というのは、繰り返し料理をする中ではじめて見えてくるものですから、心地のよい台所の持ち主は、すなわち 料理好きであるといえるのではないでしょうか。今号の特集は「料理好きの台所」。手をかけ、使い込んだ台所からは、その人が楽しげに腕を振るう姿や、豊かな食卓や暮らしそのものが透けて見えるようです。すべてのものを取り出しやすくしている人、スッキリ何もない空間で料理に励む人、菜箸や布巾ひとつまでこだわって選ぶ人。工夫とアイデアに溢れ、すみずみにまで目の行き届いた、16組の料理好きのみなさんの台所を拝見します。
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