コラム:寒川町の冬のヒマワリ
「地域性」や「季節性」とは?

「地域の」や「季節の」というワードは、よく観光などのキャッチフレーズとして使われますが、今回はそんな「地域性」や「季節性」について考えさせられたエピソードを皆さんにご紹介したいと思います。
先日、神奈川県の寒川町で、スペシャルなフラワーディスプレイを見る機会がありました。それが、11月に咲くヒマワリ! 今年で栽培10年目を迎えた「さむかわ冬のひまわりfestival」では、圏央道沿いの大きな公園と、有名な寒川神社の隣の2カ所で、背丈の低いヒマワリが満開に咲く様子を見ることができます。
公園のヒマワリ畑は、富士山が見えるときはちょうどその真正面にくるようにデザインされていました。晴れた日には最高の撮影スポットですね。寒川町からは富士山は南の方向にあたるので、すべてのひまわりの花が富士山を向く後ろ姿を見ることができます。
2カ所目の神社横はとても広々としていて、ほとんどのヒマワリはカキの木の下に植えられていました。11月に、カキの実が実るカキの木の下、コンパクトな黄色いヒマワリが満開を迎えている光景は、なかなか興味深いものでした。
このイベントは、寒川町観光協会が町のPRのために始めたものだそうです。
日本では四季がはっきりとしていて、それぞれの季節にはそれぞれの花が咲きますね。では、ヒマワリはどの季節の花になるのでしょう?
こうした取り組みは話題性も人気もあり、とても興味深い反面、冬にヒマワリを愛でる必要があるのか、少し考えてしまいます。地域や季節の植物に、どれだけこだわるべきなのでしょうか。
どんな季節にどんな花を愛で、身の回りをどんな風に飾るかは、一人ひとりが決め、考えることなのでしょう。
Credit 話 / Elfriede Fuji-Zellner - ガーデナー -
エルフリーデ・フジ・ツェルナー/南ドイツ、バイエルン出身。幼い頃から豊かな自然や動物に囲まれて育つ。プロのガーデナーを志してドイツで“Technician in Horticulture(園芸技術者)”の学位を取得。ベルギー、スイス、アメリカ、日本など、各国で経験を積む。日本原産の植物や日本庭園の魅力に惹かれて20年以上前に日本に移り住み、現在は神奈川県にて暮らしている。ガーデニングや植物、自然を通じたコミュニケーションが大好きで、子供向けにガーデニングワークショップやスクールガーデンサークルなどで活動中。
Photo/ Friedrich Strauss Gartenbildagentur/Stockfood
まとめ / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!
