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迷惑客やカスハラ(カスタマーハラスメント)が社会問題となっている。その理不尽な言動は、対応した従業員にトラウマを植え付けかねない。
◆小銭を投げつける横柄な客

20代とみられる若い男性客は、週に1度ほど来店していた。ある日、幕の内弁当を注文したが、品切れだった。
「すみません、品切れになってしまって」
「じゃあ、豚肉の生姜焼きにしてください」
男性客はそのまま弁当を購入し、店を出て行った。しかし、1週間後の夜、再び同じような状況になると……。
「なんでいつも売り切れてるの」
「幕ノ内弁当は午前中に仕込みをしているもので、夕方には品切れになることが多く、申し訳ございません」
「それはそっちの都合だよね」
男性客は不機嫌になり、鮭弁当を注文。だが、会計時に小銭を投げつけてきたのだ!
加藤さんは泣きそうになりながら床に落ちた小銭をひろい、レジを打った後にレシートを渡した。彼の財布に学生証が入っているのが見え、大学生であることがわかったという。
◆救世主が登場「だったら、店員さんに謝れよ!」

これに対して大学生の男性は睨みつけるだけで、謝罪の言葉はなかった。その後……。
「鮭弁当をお待ちの方……」
加藤さんが呼びかけると、大学生が椅子から立ち上がった。だが、弁当を受け取ろうとした大学生の足を、先程かばってくれたサラリーマン客が“偶然”にもひっかけてしまったのだ。
「何をするんだ!」
「わざとじゃないよ」
「わざとじゃなくても謝れよ!」
「だったら、さっきレジで小銭を投げたことを店員さんに謝れ!」
大学生は弁当を受け取ると、店内の視線が集中するなか、「こんな店二度とくるか!」と捨て台詞を残して立ち去ったという。
店員に対してあまりに横柄な態度で接する客など、来なくて結構だろう。一方、加藤さんを助けてくれたサラリーマン客は「気にしない方がいいよ」と声をかけてくれ、その後も常連として店を訪れてくれたそうだ。

