◆最も大切なのは、上司が部下の話を「聞く」こと
では、若者恐怖症からどう脱却すればよいのか。舟津氏は「関係の軸はあくまで“仕事”に置くべきだ」と強調する。「仕事である以上、上下関係があるのは当然であり、問題はそれを濫用することです。上司が不自然にへりくだったり、無理にフラットさを演出したりする必要はありません。むしろ権力差を過剰に消そうとする行為のほうが、若者からすると『腫れ物扱い』されているようで逆に怖い。上下関係を前提に、普通にコミュニケーションすれば十分なのです」
そしてもっともシンプルな解決策は、上司が部下の話を「聞くこと」だと舟津氏は続ける。
「飲み会に行きたいのか、仕事をどう進めたいのか。上司が部下に直接聞くだけで、多くの誤解は簡単に解消できます。データや一般論に頼りすぎず、目の前の相手に確認することが大切ですし、それができることこそが健全な組織の証なのではないでしょうか」
若者恐怖症に特効薬はないが、その多くは「言葉のイメージ」や「なんとなくの噂」が一人歩きした結果にすぎないと理解することが、克服への第一歩となる。
「おばけも、正体がわかれば怖くありませんよね。若者への恐れも同じです。『幽霊の正体見たり枯れ尾花』という言葉があるように、遠目には怖そうに見えても、近づけばただの枯れ草だった——なんてことがほとんどです。実在しない“若者像”に振り回されすぎないようにしましょう」
若者を「若者だから」と一括りにしてしまう先入観こそが、私たちを必要以上に縛っているのかもしれない。
<取材・文/桜井カズキ>

