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【更年期の養生 Vol.5】冬に増える腰痛。“乾燥タイプ”と“冷えタイプ”の原因・チェック・養生法

【更年期の養生 Vol.5】冬に増える腰痛。“乾燥タイプ”と“冷えタイプ”の原因・チェック・養生法

冬は腰痛が表れやすい季節。更年期の腰痛は大きく“乾燥タイプ”“冷えタイプ”があり、その原因や養生法が異なります。そんな腰痛タイプの見分け方とすぐにできる生活養生法を、東洋医学の視点でご紹介します。

冬に更年期の腰痛が悪化する理由

冬になると、腰痛や腰のだるさに悩む人が多くなります。そもそも「月(にくづき)」に「要(かなめ)」と書くその字の通り、腰は体の要となる場所。東洋医学では「腰は腎(じん)の府(ふ)」(「府」とは「住む場所」の意)と言われ、五臓の腎が位置している場所として腰の養生は重要視されています。上半身と下半身をつなぐ場所であり、体全体のバランスの中心であるという意味でも、まさしく体の要ですね。

そんな「腎の府」である腰が痛くなるということは、腎の力が低下しているサイン。腎とは“生命力を蓄える場所”なので、腰痛は単に腰だけの問題ではなく生命力が不足しそうな警告であり、放っておくと全身の老化が進んでしまう可能性がある状態。腰のケアをすることは大切な養生となるわけです。

更年期に多い腎の力の低下による腰痛は主に2種類あり、ひとつは体全体を潤す水源である「腎陰(じんいん)不足」(腎陰虚=じんいんきょ)によるもの、もうひとつは体全体を温める熱源である「腎陽(じんよう)不足」(腎陽虚=じんようきょ)によるもの。前者は“乾燥タイプ”の腰痛、後者は“冷えタイプ”の腰痛と言いかえることもできます。両者の違いは次の通りです。

◉腎陰不足(乾燥タイプ)の腰痛
・体内の潤いの消耗が原因で起こりやすい
・冬の乾燥によって腰痛が起こりやすい
・重だるい、力が入らないといった症状が特徴
・夕方~夜に痛みが強くなりやすい
・夜ふかしや過労の影響で痛みが強くなりやすい

◉腎陽不足(冷えタイプ)の腰痛
・冷えが原因で起こりやすい
・ズーンと痛む、冷えて重たい痛みが特徴
・朝に痛みが強くなりやすい
・冬に痛みが悪化しやすい
・温めると痛みが楽になる

どちらも腎の力を補うことが養生につながるという点は共通しているものの、細かい違いがあるので、どちらの傾向により多く当てはまるのかを見極めて適した養生をとり入れてください。

腎陰不足(乾燥タイプ)の腰痛を防ぐ生活養生法

加齢のほか、外気の乾燥、過度の発汗、夜ふかしなどの腎陰を消耗する生活習慣が原因となる腎陰不足タイプの腰痛。体内の潤いを守る次のような養生法が腰痛対策になります。

◉入浴時間は25分前後を目安にする
長風呂は体を温めるため腰痛対策にもなる⋯⋯というイメージがあるかもしれません。しかし、長風呂は温めるメリットよりも発汗による腎陰の消耗のデメリットが上回ってしまい、腰痛の一因にもなることが。腎陰の消耗を防ぐために浴槽につかる時間は10~15分ほど、体や髪を洗う時間は10分ほど、トータルの入浴時間は25分前後を目安にしましょう。25分では体や髪を洗う時間が足りないと思われるかもしれませんが、そもそも体や髪を毎日洗うと必要以上に潤いが奪われて、乾燥やかゆみなどの原因になってしまいます。洗いすぎを防ぐ意味でも時短の意味でも、シャンプーは1〜2日おき、体は2~3日おきに気になる部分だけ石けんで洗い、それ以外はシャワーのかけ湯のみ。髪も体もシャワーで2~5分程度流すだけで十分に汚れを落とすことができ、入浴時間を短くすることもできます。

◉入浴直後に足腰をしっかり保湿する
入浴後にタオルで体を拭いたらすぐ、マッサージオイルホホバオイルボディクリームなどで足腰を保湿して乾燥から腎陰を守りましょう。保湿剤を手にとったら、へその真裏にある「命門(めいもん)」のツボ周辺に円を描くようにやさしく塗り広げ、その後下半身へと軽く流します。その後、足全体にもやさしくなでるように保湿剤を塗ってください。特にふくらはぎの内側部分は腎につながるエリアなので、忘れずに保湿を。

◉夜はスマホやPCを早めにオフしてデジタル断ち
脳は腎とつながっており、脳を酷使することは腎陰の消耗を招くため、腰痛を悪化させる一因にもなります。特にスマホやPCはブルーライトの刺激や過剰な情報量によって腎陰を消耗する力が強く、腰痛に直結しやすいもの。夜の睡眠時は腎陰を補う時間帯なので、スマホやPCを見て夜ふかしをすると、二重に腎陰を消耗することになります。夜はスマホやPCをなるべく早めにオフにし、遅くとも就寝時間の15〜20分前には見るのを止めるのがいいでしょう。そして23時までには就寝するのが理想的です。

◉朝の家事負担をできるだけ軽くする
朝起きてすぐに家事にとりかかることは、腰に大きな負担をかけます。特に前屈みの姿勢になる家事は、腎陰不足の腰痛を悪化させる可能性が大。朝の家事のうち前日の夜にできることはなるべくすませておいたり、後回しにできる作業は午後に回すなどして、朝の腰への負担をできるだけ減らしましょう。例えば、朝食の材料と使う食器を夜寝る前にまとめておく、洗濯物は夜のうちに洗濯機に入れておく(朝はスイッチを入れるだけ)、ゴミ出しのゴミは前日にまとめて玄関まで運んでおく、朝の掃除機がけは避ける(掃除をしなければならない場合はフロアワイパーなどを使う)など。また、朝の家事にとりかかる前に背伸び、腰回し、骨盤を左右に揺らす、腰をカイロで温めるなどのウォーミングアップをすると、腰へのダメージをやわらげることができます。

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