11月15日に行われたアイドルグループ「Snow Man」の大和ハウスプレミストドーム(北海道札幌市)でのコンサートで、会場にいたと見られるファンがXに投稿した“全裸で踊るファン”の画像が物議を醸している。
《スノ初日、 目の前の人全裸でペンラ振っててほんまに大横転WWWWWWWWWWWW 助けてください SOS》という投稿とともに、写真には衣類を着てないと思われる全裸の女性の後ろ姿が写っており、他の観客やコンサート会場と思しき周辺の画像にはボカシが入っている。
「ニセモノ説なども飛び交い、この写真の真偽は定かではないですが、ネット上では、『スノ北海道全裸事変』として話題になりました。実はこの手の話は、『Snow Man』に限らず、男性グループアイドルファンの間ではたびたび話題になっていたんですよ」(スポーツ紙記者)
それも関係しているのか、翌16日の公演では、メンバーのラウール(22)が、開演早々、ステージ上から観客に向かい「今日は(みなさんの)参戦服を聞いていきたいと思います! ニット着てきた人〜? 暑くてTシャツ1枚の人〜? グッズを着てきた人〜? 推しの色を着てきた人〜? 今日は最後までよろしくね〜!」などと、昨日の事件を意識したかのような声がけをして、ネット上がザワついた。(ライター・中原慶一)
ファンの「暴走」が相次ぐ背景は?
「熱狂的な女性ファンが上着を脱いで上半身ブラジャー1枚で応援したりする例は男性グループアイドルのコンサートやビジュアル系バンドの会場でちょこちょこあるんです。海外でも、韓国系歌手のジェイ・パークのライブでブラジャーが投げ込まれたことが報じられたこともあります」(前出のスポーツ紙記者)
さらに、男性アイドルに限らず、女性アイドルでもこうした“ファンの暴走”が起きている。
2016年に行われた「まねきケチャ」のライブでは、一部の男性ファンが 下半身を露出したり、全裸になって「リフト」(=人を持ち上げるような行為)をしたりと、過激な迷惑行為をして話題になっており、このファンはその後、出禁(出入禁止)になっている。音楽メディア関係者はこう分析する。
「ペンライトを持って目立つ動きをする『ヲタ芸』などと同じ心理でしょうね。ファンは少しでも、“推し”に自分の存在に気づいてもらいたい。その心理がエスカレートすると、全裸になるなど、奇抜な行動に出るのだと思います」
公然わいせつ罪、迷惑防止条例で「お縄」の可能性も
下半身を露わにする、全裸になるなどの行為は、犯罪行為となる可能性があるから、注意が必要だ。さる法律事務所関係者はこう話す。
「コンサート会場などの密室でも、刑法の『公然わいせつ罪』(174条)を疑われるケースもあるでしょうし、各都道府県の『迷惑防止条例』違反になるケースも考えられます」
ちなみに刑法174条の「公然わいせつ罪」の条文は以下の通り。
「公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処する」
条文にある「公然」とは、不特定または多数人の目に触れる場をさす。映画館やバー、喫茶店など入場制限をかけていないスペースでの露出も「公然」とみなされる。かつては、ストリップ劇場やハプニングバーなどでも、この法律によって「お縄」となった例もある。
さらに、痴漢や盗撮事件でよく耳にする都道府県の「迷惑防止条例」が適用される可能性もある。迷惑防止条例では「公共の場所や公共の乗り物において『卑わいな言動』をする行為」が指定されていることも多く、東京都の場合、「卑わいな言動」に対する刑罰は「6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」となる(東京都迷惑防止条例5条1項3号、8条)。
実際に、2022年には兵庫県尼崎市において、50代の会社員男性が、深夜の路上で、通りがかった女性に向かって素肌にブラジャーを付けた上半身を露出したとされ、迷惑防止条例違反の疑いで兵庫県警に逮捕されている。
下半身を露出せず、上半身にブラジャーをつけて露出しただけでも、「卑猥な行為」とみなされているのだ。
「『公然わいせつ』にせよ、『迷惑防止条例』にせよ、何がわいせつで、何が卑猥な行為なのかの立証は難しいところですが、他人を不安にさせる行為や、明らかに公序良俗に反する行為であれば、犯罪性を疑われてしかるべきでしょう。いくら熱狂的なファンで、会場で大いにエキサイトしたのだとしても、コンサートなどでの逸脱行為は慎むべきです」(前出の法律事務所関係者)
演じている側も、ファンが逮捕などされたら、決して気分はよくないはず。やはり、“推し”のためにも、節度をもって鑑賞すべきである。
■ 中原慶一
某大手ニュースサイト編集者。事件、社会、芸能、街ネタなどが守備範囲。実話誌やビジネス誌を経て現職。マスコミ関係者に幅広いネットワークを持つ。

