
50代は、子育てが一段落し、自分のために時間を使えるようになる大きな転機です。だからこそ、なんとなく続けてきた会うと疲れる人との付き合いなど、人間関係を見直す人も多いでしょう。「孤独になってしまうのでは?」という不安もあるかもしれません。しかし、本当に大切なのは、無理な関係を続けることではなく、自分のペースで新しい「縁」を育むこと。本記事では獅子にひれ氏の著書『定年が気になりはじめた50代おひとりさま女子たちのトリセツ』(ごきげんビジネス出版)より、おひとりさまが持つ「自由」を強みに変える、新しい人との繋がり方を考えます。
「年賀状じまい」は必要か?
突然ですが、あなたは毎年の年賀状を出していますか? 私は年賀状を書く習慣を続けていますが、昨今では「年賀状じまい」というコメントが増えたなと感じます。たしかに忙しい年末のなかで年賀状を用意するのは手間に思えることもあります。ふと、そんな年賀状を出さない選択が「人間関係の棚卸し」につながる面もあるのでは?と考えるようになりました。
「人間関係の棚卸し」と聞くと、なんだか大げさで少々難しそうに感じるかもしれません。でも実際には自分の心と向き合うシンプルな作業だとも思います。まずは穏やかな気持ちで、周囲の人たちのことを思い浮かべてみてください。家族、親しい友人、職場の仲間、趣味を通じて知り合った人たち……一人ひとりとの関係を振り返るなかで、自分の心に正直になる時間をもってみてください。この人といると安心できる、この人の前では本当の自分でいられる、この人とは互いに支え合える関係にある……そのような発見があるかもしれません。
「もう、無理して会うのはやめた」
一方で、長く付き合ってきた人であっても、時の流れとともに互いの価値観や生活スタイルが変わることもあります。以前は気が合っていたのに、なんとなく話が合わなくなった、会うたびに疲れを感じるようになった……そんな経験はありませんか? これは決して悪いことではなく、人として自然な成長の過程ではないかと私は考えています。なんとなく居心地の悪さを感じる人との関係を続けている場合、それに気づいたら無理をしない選択も大切です。人生の後半戦において、時間は限られた貴重なものですから。
50代、意外と身近にある「新しい出会いの場」
棚卸しの結果、「もう少し深いつながりを求めたい」「新しい刺激がほしい」という気持ちが湧いてくることもあるかもしれません。
新しい出会いの場は意外と身近なところにもあります。地域の公民館や図書館のイベント、ボランティア活動、カルチャースクールや大学の公開講座、趣味のサークル、さらには私も経験したSNSのコミュニティなど。大事なのは、無理のない範囲で、自分がワクワクすると感じる活動を選ぶことだと思います。「ちょっと覗いてみようかな」くらいの気軽な気持ちで十分。
新しいコミュニティとの「出合い」
実は、50代という年代は新しいチャレンジをはじめるのに絶好のタイミングでもあります。子育てが一段落し、仕事でも一定の経験を積んで、自分のことに時間を使える余裕が生まれてくる時期だからです。これまで「いつかやってみたい」と思いながら後回しにしていたことがあるなら、いまこそ挑戦のときかもしれません。
新しいコミュニティとの出合いは、大きな変化をもたらしてくれます。新鮮な刺激や、自分らしさを発見できる場との出合い、さらには生きがいになる新しい趣味や気の合う仲間とのつながり……こうした出合いは思いがけない喜びを与えてくれるものです。同世代の人たちとの出会いであれば、同じような人生経験を積んできた者同士だからこそ分かり合える部分があり、会話も弾みやすいものです。定年後の生活設計について語り合ったり、これまでの人生を振り返って笑い合ったり……そのような時間は心を豊かにしてくれるのではないでしょうか。
重要なのは、すべては自分のペースで進めてよいこと。参加してみて「違うかも」と感じたら、そこで立ち止まるのも、方向転換して別のコミュニティに参加しても構わないのです。そうやって自分の心の声に正直になれることで、本当に大切なものに気づけるはずです。
私たち「おひとりさま」だからこそ、自分らしい距離感でつながれる自由があります。誰かに合わせる必要も、無理して付き合う必要もありません。時には密に、時にはゆるやかに……そんなつながり方ができることは、むしろ大きな強みといえるのではないでしょうか。人生の折り返し地点に立ったいまだからこそ、これまでの経験を生かしながら、新しい関係性を育んでみませんか。一歩踏み出す勇気があれば、きっとこれまで想像もしなかった場所に、あなたの「居場所」が見つかることでしょう。
獅子にひれ
ライター/AFP
※本記事は『定年が気になりはじめた50代おひとりさま女子たちのトリセツ』(ごきげんビジネス出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
