帰り際、女性客がそっと謝罪してくる。都内の外資系高級ホテルで6年間ソムリエとして働いた筆者は、こうした光景を何度も目にしてきた。著名人を含む多くの富裕層を接客する中で気づいたのは、年収や肩書きは申し分ないのに、なぜか女性からの評価が低い「残念な男性」が一定数いるという事実だ。
彼らに共通するのは「振る舞い」の問題である。高級ホテルのスタッフは、客の何気ない仕草や言動を細かく観察している。そして残念ながら、富裕層や有名人であっても「この人は残念だな」と感じる瞬間は少なくない。
今回、京都の高級ホテルで現役マネージャーとして働く女性にも取材協力を得た。彼女が見てきた「残念な男性客」の共通点を、リアルなエピソードとともに紹介する。
◆女性の前で赤っ恥!「ワイン知ったかぶり男」の末路

レストランでワインリストを手にとり、自信満々にそう言う男性は少なくない。しかし、スタッフから見ると「あれ?」と首を傾げるケースが意外と多い。
筆者が遭遇したのは、このような場面だった。女性を連れた40代くらいの男性客が、ワインリストを見ながら得意げに語り始めた。
「このシャブリはね、ボルドー地方の……」
産地が完全に間違っている。シャブリはブルゴーニュ地方だ。様子を伺っていると、同席していた女性のほうが明らかにワインに詳しい様子だった。彼女は小さく苦笑いを浮かべ、「あの、シャブリってブルゴーニュじゃなかったかしら?」と控えめに指摘した。
男性は一瞬、言葉に詰まった。その後も知識をひけらかそうとするが、細かい部分で間違いが目立つ。最終的に筆者がおすすめのワインを提案すると、「じゃあそれで」とバツが悪そうに注文した。
デート中、女性の前で恥をかくほど辛いものはない。知ったかぶりは自分を大きく見せようとする行為だが、実際には逆効果だ。むしろ「ワイン好きだけど、詳しくないんだ。スッキリした味わいのものが好きなんだけど、おすすめある?」と素直に聞ける男性のほうが、圧倒的にスマートに見える。
◆ホテルスタッフが見ている“本性”
高級ホテルで働くスタッフたちは、客の「二面性」を敏感に察知する。特に気になるのが、同伴者には紳士的なのに、スタッフに対してだけ態度が変わる男性だ。京都の高級ホテルの現役女性マネージャーは、こう証言する。
「お連れの女性には優しく接しているのに、私たちスタッフには横柄な態度をとる方がいます。中には、明らかにセクハラととれる発言をする方も。『今日は綺麗だね』『夜、部屋に来ない?』といった言葉を軽い調子で投げかけてくるんです」
こうした発言は、本人には冗談のつもりかもしれない。しかし、スタッフにとっては不快以外の何物でもない。富裕層だから、あるいは常連客だからといって、許されるわけではない。むしろ、ホテル側は従業員を守るため、悪質な場合は出入り禁止の措置をとることもある。
女性客が帰り際に「ごめんなさい」と謝ってくるケースは、決して珍しくない。スタッフへの態度は、将来的にパートナーに対してどう接するかを映す鏡だ。女性たちはそれを本能的に理解している。

