◆スニーカーが正解の時代へ。JALが示したビジネス足元の新基準
予想外だったのが「ビジネスカジュアル」靴の思わぬ鈍化でした。「革靴じゃない、でもマナー違反にならないスニーカー」という見えない基準が思った以上にハードルが高いようで、「じゃあ革靴でいいや」となってしまった方がほとんどだったのではないでしょうか。実際サラリーマンの方の足元を見ても、ネクタイはしていないのに革靴という方が圧倒的に多く、しかし「革靴は多少汚れていても履いていればOK」と誤った解釈している方が散見されました。
ウェットティッシュでキレイにした合皮スニーカーのほうが、汚い革靴の100倍マシです。男女兼用で中敷きも外せるので、バネインソールなどと機能性インソールを入れて掛け算すれば、歩き心地ははるかにアップします。合皮なので1年程度で劣化、買い替えが目安ですが、キャンバスより悪目立ちしません。ちょうど2025年11月13日より、あのJALがようやくスニーカーを解禁しました。プレスリリースの写真で空港スタッフがスニーカーを履いていたのがおそらくこちら。違和感もなく、グリップも効くので機内で安全に働けて、いざという時のアクシデントにも十分耐えられると思います。
2025年の靴業界を振り返ると、派手さよりも“実力”が問われた一年だったと痛感します。ブランド名や見た目の格好良さだけでは選ばれず、価格・在庫・実用性など、総合力でシビアに評価される時代になりました。2026年はその傾向がさらに強まり、「本当に足にいい靴」「使う人の生活に寄り添う靴」だけが残っていくはずです。あなたの足元にも、きっとまだ見ぬ一足が待っています。流行に振り回されず、ぜひ来年も「あなたの足」を主語にした靴選びをしてみてください。
【シューフィッター佐藤靖青】
イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます『シューフィッター佐藤靖青(旧・こまつ)@毎日靴ブログ』。著書『予約の取れないシューフィッターが教える正しい靴の選びかた』

