
6月18日は「おにぎりの日」。実はおにぎりには素晴らしい薬膳効果があり、梅雨から夏にかけての養生にぴったりなのです。そこで、体調や気候に合わせて具材を選ぶ“おにぎり養生”をとり入れてみませんか?
もうすぐ訪れる「夏至(げし)」の養生も合わせてご紹介します。
弥生時代のおにぎりからわかる、お米と日本人の深い関係

今日は「おにぎりの日」とのことで、その由来は、日本最古のおにぎりの化石が発見された石川県鹿西町(ろくせいまち=現・中能登町)の「ろく」と、毎月18日が「米食の日」であることから。ちなみに「米」の字を分解すると「十」と「八」になることから、毎月18日は米食の日なのだそうです。
石川県中能登町のHPによれば、出土したおにぎりの化石は約2000年前の弥生時代後期のもので、底辺5cm、残りの2辺が8cmの二等辺三角形。いわば、弥生時代の三角おにぎりです。もち米が使われていて、蒸されたあとに焼かれたものだということもわかっており、ちまきに近い食べ物だったと考えられているのだとか。化石からそんなことまでわかるなんて、すごいですね。
このおにぎりは当時の携帯食か、もしくは霊的なものへのお供え、厄除けのまじないなどに用いられていた可能性もあると言います。新嘗祭(にいなめさい)のような米にまつわる神事が数多く存在したり、お正月に鏡もちを供える風習があったりと、日本人にとってお米やおもちは伝統的に神聖なもの。その精神は、弥生時代から培われて現代まで息づいているんですね。
令和の米騒動が世間を騒がせている昨今。原始的な木製の農具で今よりもずっと重労働だった農作業を黙々と行い、やっとの思いで実らせた稲を神様に捧げていた弥生時代の人々を想像すると、お米に対するありがたさもひとしおです。
暑さと寒さが入り交じる梅雨に最適な“おにぎり養生”

話をおにぎりの日に戻しましょう。おにぎりの主原料であるお米は、湿気が多い日本の土地柄においてベストの主食。薬膳的に見ると、お米には五臓の脾(ひ=胃腸)を強くして体内の水分代謝を整える働きがあり、湿気に強い体を作ってくれます。雨による湿気は脾の働きを低下させて、食欲不振や消化不良、下痢、むくみなどを招くことが多いのですが、お米をよく食べると脾が強くなり、こうした不調の予防につながるのです。
また、おにぎりに欠かせない塩には体内の余分な熱をとる性質があり、のりにも体内の余分な熱と水分を排出する性質があります。シンプルな塩むすびものり巻きおにぎりも、蒸し蒸しする梅雨に最適な薬膳と言えるでしょう。
さらに、おにぎりはさまざまな具材を選ぶことができます。この具材選びを体調や気候に合わせて行うだけで、立派な薬膳が完成します。暑い日もあれば寒い日もある梅雨どきこそ、具材を選び分けることで手軽に体調管理ができる“おにぎり養生”をとり入れてみてください。
【おにぎりの具材リスト】
◉肌寒い、冷えが気になる
しゃけ、鶏肉、高菜、おこわ
◉疲れている、元気を出したい
ツナ、おかか、牛肉、鶏肉
◉雨が降っている、むくむ、体が重だるい
昆布、のりの佃煮
◉汗をたくさんかいている、水分不足
梅干し、豚肉、たまご
◉暑い、熱中症対策
昆布、梅干し

