
平年よりもかなり早い梅雨明けで、暑い時期が長くなりそうな今年の夏。熱中症対策が欠かせない季節となりました。
東洋医学では、熱中症対策には3つのポイントが重視されています。その各ポイントにあわせた薬膳食材を活用して、暑い夏を乗り切っていきましょう。
暑さによる体の熱は「清暑(せいしょ)」の食材で冷ます

7月7日からは二十四節気(にじゅうしせっき)の「小暑(しょうしょ)」となります。「少し暑くなってくる」というのがその名の由来ですが、すでに本格的に暑い季節へと突入した状態。小暑の期間とその次の節気である「大暑(たいしょ=7月22日〜8月6日)」を合わせて「暑中」と呼び、1年で最も暑い時期とされています。暑中見舞いを出すのがこの季節ですね。
暑中に入ると、目下の課題は熱中症対策に。水分補給や空調管理などの基本的な対策に加えて、東洋医学(薬膳)における熱中症予防のポイントは大きく3つ挙げられます。
まずそのひとつめは「暑さによる体内の熱を冷ますこと」。
熱を冷ますと言うと、どうしても冷たいものを食べたくなってしまうかもしれません。しかし、冷たい飲食物をとり続けると胃腸が冷えて消化吸収力が低下するため、栄養や水分が吸収されにくくなり、エネルギー不足や水分不足になって、熱中症や夏バテを招きやすくなるのです。冷たいものをとりすぎないように、特に飲み物はできるだけ常温以上のものを飲むようにしてみてください。「冷たい飲み物を飲まないなんて考えられない」と思うかもしれませんが、やってみると案外すぐに慣れることができます。
薬膳では冷たい飲食物ではなく、暑さによる熱を冷ます「清暑(せいしょ)」の性質を持つ食材をよくとることで熱中症対策を行います。
清暑の働きがある食材には、次のものがあります。
・にがうり⋯⋯熱中症、暑さによるのどの渇き、熱感をともなうイライラなどをやわらげます。
・冬瓜(とうがん)⋯⋯熱中症、熱感をともなうイライラ、むくみ、下痢などをやわらげます。
・トマト⋯⋯のどの渇き、熱感をともなうイライラ、食欲不振、消化不良などをやわらげます。
・きゅうり⋯⋯暑さによる体温上昇・のどの渇き・イライラ、皮膚の乾燥などをやわらげます。
・いんげん⋯⋯蒸し暑さによる口の渇き・口の中の粘る感じ、頭の重だるさなどをやわらげます。
これらの食材を、なるべく常温以上でとるようにしましょう。体の熱をよく冷ます順に、和え物、ゆで料理、蒸し料理、煮物、炒め物などの調理法がおすすめです。
「生津(しょうしん)」と「止渇(しかつ)」の食材で水分不足を防ぐ

熱中症予防のポイントのふたつめは、「体内に水分を生み出すこと」と「渇きを抑えること」。東洋医学では体内に水分を生み出すことを「生津(しょうしん、せいしん)」、渇きを抑えることを「止渇(しかつ)」と呼びます。水分補給をしたうえで、さらに次のような生津や止渇の性質を持つ食材をよくとると、水分保持効果が高まります。
・すいか⋯⋯体内の余分な熱をとって止渇し、熱中症、暑さによるのどの渇きなどをやわらげます。
・オレンジ⋯⋯生津・止渇して、口の渇き、発熱、食欲不振などをやわらげます。
・レモン⋯⋯生津・止渇して、暑さによるのどの渇き、暑さによる熱感などをやわらげます。
・キウイフルーツ⋯⋯体内の余分な熱をとって生津・止渇し、わずらわしい熱感、口の渇きなどをやわらげます。
・マンゴー⋯⋯体内の余分な熱をとって生津・止渇し、わずらわしい熱感、口の渇き、尿の出が悪い状態などをやわらげます。
・梅干し⋯⋯体内の余分な熱をとって生津し、熱中症、のどや口の渇きなどをやわらげます。
果実類は胃腸を冷やしやすいので、食べるときはできるだけ常温に近づけて食べるといいでしょう。

