
大人の美しさは、内面からも磨きましょう。
たとえば、手紙やメモなどの書き文字が美しいと、より洗練された印象がアップします。
クセ字が気になる人でも、ちょっと意識するだけで、驚くほどの美文字が身につきます!
教えていただいたのは・・・
横浜国立大学教授・書家
青山浩之先生
美文字研究家。美しく見える文字の書き方「青山メソッド」を確立し、美文字の鉄則の普及に尽力。わかりやすい理論には定評があり、テレビ、雑誌、セミナーなど多方面で活躍している。『美しい文字は脳がつくる!永久美文字レッスン』(西東社)など著書多数。
@hiroyuki_aoyama_ynu
〔漢字〕
5つの漢字ルールで品格ある大人美文字に
3大メソッドに加えて、それぞれの漢字の長所を意識しながら書くと、その漢字本来の美しさが引き立ちます。
覚えたいのは「横線、払い、曲がり・反り、縦長囲み、横長囲み」の5つ。
これだけで、さまざまな漢字に応用できます。
練習のポイント
❶ お手本を確認してなぞる
お手本をよく見て、脳内にイメージします。
文字ごとのポイントを意識しながら、お手本をなぞって書き、イメージをなじませます。
❷ お手本を隠して書く
次に、お手本を隠して、お手本のイメージを思い出しながら書いてみます。
書いたら、お手本と見比べて、赤ペンで修正しましょう。
❸ もう一度お手本を見ずに書く
もう一度、お手本を見ずに書いて、お手本と見比べてください。
この3ステップで練習は終了。1日4文字、10分程度が目安です。
❹ 翌日もう一度書く
前日と同じ文字で、①~③のステップを再度行います。
繰り返し練習することで、脳内文字が修正され、長期記憶として保存されます。
漢字ルール 1
横線一本強調のルール
「幸」のメインとなる横線は3画目。
この線を長く伸ばして強調し、ほかの横線は短めに書くと、バランスが整った美しい文字に。
ちがう線が長いと、バランスが悪く不安定な文字になります。
横線の多い漢字の場合、すべての横線が同じ長さだと、単調で美しく見えません。
メインとなる一本を長めに伸ばすことで、メリハリがつき、洗練された大人っぽい字に
なります。
メインの横線は漢字によって異なりますが、お手本の漢字を練習すれば、似た漢字に応用できます。
メインとなる横線以外は、短めに書くことも意識してみて。
漢字ルール 2
払いは末広がりのルール
「大」は左右の払いが横線より短いと、幼い印象に。
横線よりも外に広がるように書きましょう。
「参」など複数の左払いがある場合は、下の払いを、やや長くするとバランスがとれます。
スーッとのびやかな「払い」は、優雅さを印象づけるポイント。
「大」「天」などのように、左右に払いがある漢字は、横線よりも外に広げて〝末広がり〟のイメージで書きましょう。
「シューッ」と声に出しながら払うと、しっかり払えます。右払いは、いったん止めて、やや横に向かって広げるのがコツです。
漢字ルール 3
曲がり・反り強調のルール
「光」の最後の一画が「曲がり」です。
ここが角ばっていたり、短すぎたりすると、字形が整いません。
なめらかにカーブさせて、上の横線よりも右側に長く伸ばし、いったん止めてからはねます。
「元」「光」などは、最後の〝曲がり〟が堂々とした美しさの決め手。
なめらかなカーブを描き、横に十分な長さをとって強調しましょう。同様に、「成」「民」の〝反り〟も強調ポイントです。
横線よりも長く、外にはみ出すように伸ばしてからはねます。ほかの点画は短めに書くことを意識すると、メリハリがついて美しいバランスに。
漢字ルール 4
縦長囲みはまっすぐ平行のルール
「国」の両側の縦線が下すぼみになっていると、字形が崩れます。
平行になるように、まっすぐおろして。
囲みの中に横線がある場合は、横線をやや右上がりを意識して書くと、より美しくなります。
漢字には4つの線で構成された「囲み」がたくさんありますが、よく見ると「縦長囲
み」と「横長囲み」があります。
このうち、「国」「目」などの縦長囲みの漢字は、両側の縦線をまっすぐおろすと、字形が安定して、大人っぽくまとまります。
「眼」「夏」など、縦長囲みが文字の一部になっている場合も、同じように書いてください。
漢字ルール 5
横長囲みはすぼませるのルール
横長囲みの「四」は、両側の線をまっすぐにおろすと幼い印象になってしまうので、内すぼみになるように書きましょう。
最後の横線の「ピト」も忘れずに。〝正方形〟ではなく、〝横長〟を意識して。
「四」「白」など「横長囲み」の漢字は、両側の線をまっすぐおろすと、間延びして見えます。この場合は、内側にすぼませるように書くのがコツ。
囲みの中の隙間がキュッとコンパクトにまとまり、バランスがよくなります。同じ「白」を含む漢字でも、「的」は縦長囲み、「皇」は横長囲みです。
使う部分によって判断してください。
Illustration: Ayako Motomura text: Aya Teramoto
大人のおしゃれ手帖2025年11月号より抜粋
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