4℃は戦略的に女性に愛されるブランドへの転換を進めていました。それが奏功しています。
クリスマスシーズンになると毎年のように巻き起こっていた「4℃論争」も、いよいよ終わりを迎えるかもしれません。

◆なぜ論争は繰り返されるのか?
4℃はかつて、男性から女性へのプレゼント需要に応えるというポジショニングを確立していました。それが2018年度の男性の売上比率66%という数字に出ています。しかし一般的な男性が、相手の女性の期待値を満たすブランドやデザイン、質感を満たすアクセサリーを選べるわけではありません。そして多くの男性は予算ありきでアクセサリーを探します。4℃はそのニーズにフィットしたのです。
4℃には「Canal 4℃」という低価格路線の姉妹ブランドがあります。男性側の視点だと「手ごろな価格でかわいいアクセサリーが買える」と考えてしまうわけですが、このブランドは10代後半から20代前半がターゲット。30代の女性が受け取ると「ありえない」などとして、たびたび論争を巻き起こしているのでした。
こうした男女のギャップが広がるにつれて、4℃のブランドそのものが揺らいでしまうことになったのです。運営するヨンドシーホールディングスはコロナ禍に入る前の2016年度から、6期連続の減収が続きました。
◆痛みを伴う改革を実行。本気度は高かった
女性がファッションアイテムや自身へのご褒美などとして、日常的に身に着けるブランドへと成長。顧客生涯価値を高める必要があったのです。そこで、ヨンドシーは2021年から「ELLE」や「VOGUE」、「BAILA」など女性誌に大量の広告を出稿。ブランド価値の向上に努めるようになりました。
2024年度には売場改革を本格化。アイテムを陳列するスタイルから、コーディネートを提案する接客へと転換しました。商品数の絞り込みも行っています。
一方、ヨンドシーの女性の購入比率引き上げは、痛みを伴うものでもありました。そこにこの会社のリブランドの本気度を見ることができます。

