AI時代に向けたスキルアップ
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同時に、AIはキャリア加速の強力なツールとなり得る。多様で一直線ではないキャリアを歩んできた女性は、AI経済という環境で力を発揮できる独自の立場にある。『世界男女格差報告書』によれば、こうした経験が女性にAIを活用した職場を乗り切るスキルを与え、英国だけで4000億ポンド(2023年GDPの16%に相当)の生産能力を解き放つ可能性がある。
ディーシー・ワインスタイン氏はこうまとめる。「将来的には、AIやイノベーション、あらゆる新技術が台頭する世界で存在意義を示すために、誰もが継続的な学習を証明する必要があるかもしれません」。しかし、スキルの急速な陳腐化は依然として課題だ。ディーシー・ワインスタイン氏は指摘する。「40歳で身につけたスキルは、5年後には通用しなくなる。42歳の時に私が手にしたスキルも、世界が急速に変化しているため、いまや無意味なものになっています」
LinkedInのデータもこれを裏付けており、AIリテラシーが最も需要の高いスキルの一つであるにもかかわらず、自社で十分なトレーニングが提供されていると回答した従業員はわずか41%だった。LinkedIn EMEAのチーフエコノミスト、Tamara Basic Vasiljev(タマラ・ベーシック・ヴァシリエフ)氏によれば、こうだ。「英国の専門家は極めて競争の激しい雇用市場に直面しています(中略)AIエージェントと連携する能力は2025年に最も急成長するスキルであり、コラボレーションやコミュニケーションなど人間的なスキルの需要も高まっています」
テッポエワ氏はこう指摘する。「機械は数字のパターンを見つけるのが得意です。しかし会議中の間や、かみしめた顎の緊張、心からの笑いの温もりといった意味は感じ取れません」。こうした対人関係や人間関係のスキルはリーダーシップやキャリア形成に不可欠であり、日常業務が自動化されるにつれ、さらに価値が高まる可能性がある。
AIはワークライフバランスにおける長年のジェンダー格差解消の可能性も秘めている。エルムガッセン氏は、AIが長時間労働のプレッシャーを軽減し、よりフレキシブルな働き方や家族との時間に余裕をもたらすことで、「AIが女性のホスピタリティ業界での長期就業を支える未来が来るかもしれない」と期待する。ディーシー・ワインスタイン氏もこれに同調し、女性のAI分野への参画拡大が、テクノロジーそのものの形成の助けになりうると強調する。「女性がAIに関わるほど、女性がデータを生成するほど、女性がAI研究を行うほど、AIは女性のニーズに寄り添うようになります。それが平等を生み出すでしょう」と語った。
AI時代は女性にとって両刃の剣だ。アクセスと普及の不平等が既存のジェンダー格差を拡大する可能性もある一方で、この技術は学習の加速、人間のスキルの強化、柔軟で意義ある仕事の設計という、前例のない機会を提供するものでもある。依然として未知の部分が既知の部分を上回っているのは事実だが、一つ確かなことがある。AIは仕事のルールを再定義しているのだ。AIを受け入れ、形作り、教える女性たちが、そのルールが私たち全員にどう役立つかを決定することになるだろう。結局のところ、職場におけるAIの物語は、女性がその中で自らの立場をどう確立するかという物語でもあるのだ。
※( )内編集部注
translation & adaptation: Akiko Eguchi
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