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Colabo「女性人権センター」建設のため“10億円”寄付呼びかけ 仁藤夢乃氏「デマ・嫌がらせ等で行政による支援が後退」

Colabo「女性人権センター」建設のため“10億円”寄付呼びかけ 仁藤夢乃氏「デマ・嫌がらせ等で行政による支援が後退」

12月3日、若年女性の支援などを行う一般社団法人「Colabo」が、新宿・歌舞伎町に「女性人権センター」を建設する計画について発表する記者会見を開いた。

センターには少女・女性のためのシェルターや支援の拠点となる施設などを配備する予定。代表の仁藤夢乃氏は、2030年のセンター完成を目指し、計10億円の予算達成のため寄付を呼びかけた。

「都がデマに屈したことが女性差別者・性売買事業者らの成功体験に」

Colaboは2011年に任意団体として活動を開始し、2013年に法人格。その活動は2018年に東京都若年女性支援モデル事業に選定され、2021年に本事業化された。 しかし2022年からColaboに対する「会計不正」などのデマがネット上で拡散され、マイクロバスで行う支援(「バスカフェ」)に妨害活動が行われるなどの被害に遭ってきた。

なお、2023年以降、Colaboは20件以上の名誉毀損(きそん)訴訟で勝訴しており、拡散された内容はデマや女性差別目的の誹謗中傷だったと裁判所によって認定されている。

しかし、2022年度、東京都や新宿区はバスカフェなどの活動を当面の間休止するように求めた。また、被害をおそれた他団体や行政による支援活動も萎縮したという。

「都や区は、『危ないから』という理由で活動を中止させた。危ない場所(歌舞伎町)に少女がいるからこそ、守る必要があるというのに。

東京都や新宿区がデマに屈したことは、女性差別の思想を持つ人たちや性売買業者らの成功体験になった」(仁藤氏)

現在、歌舞伎町において少女・女性を取り巻く状況は悪化し、被害が拡大しているという。

具体的には、性売買にあっせんするスカウト100〜200名と売春者50名以上が毎晩確認される状況であり、ホストなどによる「グルーミング」(信頼関係を装って搾取につなげる行為)も横行しているとのことだ。

行政の支援が後退している現状では民間の力が不可欠、と訴え

「女性人権センター」イメージ図(12月3日/弁護士JPニュース編集部)

2023年度に都が女性支援事業を従来の委託事業から補助事業に切り替え、都から求められた場合、個人別の支援記録など個人情報の開示が必要になった。

Colaboは「行政や大人に不信感を持っている少女の支援が成り立たなくなる」として、同年度から都の事業に申請せず。それまで受けていた補助金もなくなり、現在は活動資金の約8割が市民による寄付や会費で成り立っている。

仁藤氏によると、現状は厚労省による女性支援事業も後退しており、民間の支援者に対しても「命の危険を感じるほどの嫌がらせ」が行われることもあるという。そのため、「嫌がらせにも屈せず、追い出されるおそれのない場所」としての女性人権センターが必要だと訴える。

同センターは「性搾取と女性差別に抗う女性たちの活動拠点」となることを目的としており、北欧やフランス、韓国などに存在する類似の施設をモデルにしているという。

イメージ図によるとセンターは5階建てであり、1階は物販やイベントスペース、2階は性搾取や反女性差別運動に関する展示室や資料室、3階は活動拠点や自活センター、4階は事務室や会議室、5階は支援が必要な女性のための宿泊施設などとすることを想定。

予算の内訳は土地購入費6億円、建物建設費3億5000万円、設備備品費4000万円、その他経費・手数料1000万円。2028年までの4年間で土地購入などの手続きを進めつつ寄付キャンペーンを行い、2029年に着工、2030年完成の計画。

会見に参加した文筆家・俳優の睡蓮みどり氏は「悩みを抱えている女の子の多くが、歌舞伎町に集まってくるという現状がある。女性人権センターが歌舞伎町のど真ん中に立つというのは大切なことだ」と語った。

仁藤氏は厚労省の「困難な問題を抱える女性への支援に係る基本方針等に関する有識者会議」にも参加するなど、これまで行政と協力して支援活動を行ってきた。

「しかし、まさか行政が(デマや嫌がらせに)屈するとは。2018年から5年間、補助金に基づくモデル事業を実施してきたが、それが嫌がらせに悪用された。情報開示請求や住民訴訟など、本来の市民の権利が、妨害のために使われた。日本社会では前代未聞だ。

行政と一緒に活動するとむしろ危なく、女性を守れないことを実感した。(オンラインでの)新しい形での攻撃から、女性・支援団体を守る必要がある」(仁藤氏)

配信元: 弁護士JP

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