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伝統観葉植物・おもと(万年青)|冬映え満点の魅力をプロが徹底解説

伝統観葉植物・おもと(万年青)|冬映え満点の魅力をプロが徹底解説

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冬にも楽しめる伝統観葉植物・おもと(万年青)の魅力を、日本おもと協会理事の解説で徹底紹介。常緑で冬の室内でも緑を楽しめる特性や、赤い実が映える冬ならではの見どころ、伝統的な葉芸や錦鉢との美しい調和、現代のインテリアに取り入れるアイデアまで幅広く解説。初心者でも安心の育て方や年間管理ポイントも紹介し、伝統と現代をあわせ持つおもとの魅力を存分に伝えます。
最後に読者プレゼントもご用意していますので、お楽しみに!

伝統観葉植物「おもと(万年青)」の魅力を紹介

獅子葉

日本の伝統植物の中でも、長い歴史と深い象徴性を持つ「おもと(万年青)」。
その常緑の葉姿や縁起のよさから、古くより“福を呼ぶ植物”として親しまれてきました。
現代では、和の趣を感じさせるインテリアグリーンとしても注目を集めており、その魅力は海外からも熱い視線が送られています。

また昨今では、ビカクシダやアガベ、塊根植物といったビザールプランツの愛好家たちが、次なる”獲物”として、おもとに熱視線を送っています。

今回の観葉植物基礎講座は、この「おもと(万年青)」を深掘りし、皆さんに紹介します。
取材・解説には、以下協会)の協力を得て、おもとの魅力を知り尽くす同協会理事の近藤敏仁さん(以下近藤さん)にお話を伺いました。

日本おもと協会近藤敏仁さん
日本おもと協会理事の近藤敏仁さん

「おもと(万年青)」とは

羅紗系おもと「和楽」

おもと(万年青)は、古くから日本で愛培されてきた伝統的な観葉植物です。
呼称は、「お」にではなく「もと」にアクセントを置くもと”が正式な呼び方です。
山の麓(ふもと)の「麓」、と同じアクセントと覚えるとよいでしょう。

名前のとおり、一年を通して青々とした葉を保つことから「万年青」と書かれ、長寿や繁栄の象徴とされています。
室内に置くだけで凜とした存在感を放ち、和の空間だけでなく、モダンインテリアにも調和する万能な植物です。

おもとの基礎情報

科・属・原産地など

おもと
  • 科/属:キジカクシ科(アスパラガスの仲間)/オモト属
  • 和名:おもと、万年青
  • 英学名: 
💡学名についてさらに詳しく👉🏻
  • 原産地:日本(本州中部以南)、中国、東南アジア
  • 区分:常緑多年草
  • 成長期:春及び秋(夏と冬は鈍化)
  • 花および実:花は夏に円筒状に密生する薄黄色の花を咲かせ、10月頃より赤くなり、冬季に入り赤い実がなる。
おもとの開花と結実
開花したおもと(左)と結実したおもと(右)
  • 花言葉:長寿、永遠の繁栄、長命、崇高な精神、母性愛
  • ペットとの相性:根茎と葉に毒性があるため、ペットから離れた場所での管理を推奨。
  • その他:根および根茎が強心、消炎、利尿に効能があるとされ、古代中国および日本の江戸時代には漢方薬として用いられたとされるが、個人が園芸用として購入したものを服用することは大変危険である。

【「その他」項目の出展】

おもな特徴

おもとは、年間を通じて緑を保つ常緑性植物。
日本では古くから園芸改良が盛んに行われ、葉が縮れたものや、丸まったもの、斑模様(ふもよう)が複雑に入ったものなど、多様な品種が生み出されてきました。

💡斑(ふ)とは?

どの品種も厚みのある葉は艶やかで、耐寒性にも優れ、冬でも葉を落とさず生命力を感じさせる姿は、おもとならでは。
丈夫で環境適応力が高く、室内栽培にも向くため、初心者でも安心して育てられます。
また、秋から冬にかけて実る赤い実は、冬の庭や鉢植えでひときわ目を引く見どころの一つです。

伝統的な位置づけ

おもとは、古くから「開運」や「魔除け」を象徴する縁起植物として親しまれてきました。
なかでも有名なのが、徳川家康にまつわる故事です。

家康は、三河から駿河にかけての領地(現在の愛知県東部〜静岡県)から、当時はまだ未開の僻地であった江戸へと領地を移すよう、時の権力者である豊臣秀吉によって命じられました。
しかし家康は、この理不尽ともいえる命令を自分が受け入れることで無駄な戦が生じず、平和な世の中が永く続くよう願い、江戸城入城の際に三鉢のおもとを抱えて入城したと伝えられています(世にいう”家康江戸打ち入り”)。

こんな感じだったのでしょうか。。。

結果的に徳川幕府は約300年続き、家康のこの英断は現代東京の繁栄の礎ともなりました。
この出来事から、おもとは“家運隆盛”や“長久の象徴”として広まりました。

さらに、家康を祀る久能山東照宮(静岡県)の「石の間」社殿の梁、および上野東照宮(東京都)社殿の梁には、おもとの彫刻が施されており、その信仰の深さを今に伝えています。

東照宮社殿の梁
久能山東照宮社殿の梁(写真上)と上野東照宮社殿の梁(写真下)に彫られたおもとの彫刻。
写真提供:ともに水野豊隆

100年以上にわたりおもとを取り扱う老舗生産者である愛知県の「豊明園」も、こうした歴史的背景を踏まえ、「おもとは開運・魔除けの縁起物である」と述べています。

ちなみに、そんな家康にあやかろうと、当時は上級家臣(旗本)の間でおもとが大流行しました。
その結果、“おもとバブル”が起きることもしばしばあり、幕府はその都度、取引禁止令を発布したといわれています。
やがて熱狂的な人気も落ち着き、一般市民の間でもおもとは江戸文化の粋として愛され続け、明治期などにも熱狂的ブームが再来したといわれています。

引越しおもと

「引越しおもと」とは、新居への移転や新築祝いの際におもとを持ち込む、または贈る風習のことです。
前述の徳川家康江戸城入城にまつわる故事がその起源となっているのですが、引越しや新生活の門出を祝う縁起物として定着しました。
現代でも、新居やオフィスへの設置、引越し祝いの贈り物として選ばれることが多く、伝統と生活の中で息づく文化を感じさせる植物です。

引越しおもと贈呈風景
新居へ引っ越す娘夫婦へ、父からおもとを送る……的な風景。

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