
1.こども誰でも通園制度とは?
こども誰でも通園制度とは、保護者の就労有無や理由を問わず、0〜2歳の未就園児が保育施設を利用できる制度です。2023年6月に「こども未来戦略方針」のなかで制度の新設が示され、2026年度から全国の自治体で開始されます。
これまで保育園を利用するには、保護者が就労していることなどの条件を満たす必要がありました。しかし、新制度では保育制度の枠を超え、理由に関わらず時間単位で保育園や幼稚園が利用可能になります。
創設の背景
制度新設の背景には、核家族化による子育て世帯の孤立があります。新制度の対象である0〜2歳児の約6割は、保育園や幼稚園に通っていない未就園児となっており、保護者が孤立や不安を感じやすい状況です。こうした環境を改善し、すべての子どもの育ちを応援することを目的として、こども誰でも通園制度が誕生しました。
対象者
こども誰でも通園制度を利用できるのは、原則として0歳6ヶ月〜満3歳未満の未就園児です。3歳になる前々日まで利用することができます。通園に慣れるまでは、親子での利用も可能です。
なお、例外として企業主導型事業所以外の認可外保育施設に通う子どもも利用できます。
利用できる時間
多様な働き方やライフスタイルに合うよう時間単位で利用できますが、月に10時間の上限が想定されています。超えた分は自治体の一時預かりを利用することになります。
一時預かりとの違い
既存の制度に「一時預かり事業」があります。こども誰でも通園制度との主な違いは、目的と給付制度にあります。
こども誰でも通園制度 | 一時預かり事業 | |
|---|---|---|
実施自治体数 | 1,718(すべての自治体) | 1,269(2023年時点、全自治体の約74%) |
実施場所 | 保育園、認定こども園、地域型保育事業所、幼稚園、地域子育て拠点 など | |
対象 | 0歳6ヶ月〜2歳の未就園児 | 家庭での保育が一時的に困難な乳幼児 |
事業目的 |
|
|
利用方法 | 市町村や事業者により、定期利用・自由利用などさまざま | |
利用時間 | 1ヶ月あたり10時間程度の上限を想定 ※1時間単位等で利用 | 利用時間の定めなし ※市町村によっては上限時間や日数を設定 |
利用料 | 事業者が直接徴収 ※1時間あたり300〜400円程度 | |
契約・予約方法 | 事業者との直接契約 | |
実施方法 | 一般型・余裕活用型 | 一般型・余裕活用型 ※障がいのある子については居宅訪問 |
▽こども誰でも通園制度について、先行実施している保育園に業務の変化や保育士の反応を聞きました。
2.こども誰でも通園制度で利用できる施設と実施の種類
利用できる施設
こども誰でも通園制度で利用できる施設は以下のとおりです。
- 認可保育所
- 認定こども園
- 小規模保育事業所
- 家庭的保育事業所
- 企業主導型保育事業所
- 認可外保育施設(認可外保育施設指導監督基準を満たす施設のみ)
- 幼稚園
- 地域子育て支援拠点事業所
- 児童発達支援センター など
実施の種類
こども誰でも通園制度の実施方法は、大きく「一般型」と「余裕活用型」の2つに分かれます。
(1)一般型
一般型は定員を別に設け、在園児と合同または専用室を設けて保育をおこない、実施形態に応じてさらに次の3つに分類されます。
1-1.一般型(在園児と合同)
保育施設にすでに通っている児童と一緒に保育をおこなう方法です。子どもにとっては在園児と触れ合う機会が多い点が特徴です。保育施設の従来の定員に関わらず、人員基準を満たせば、受け入れ定員を自由に設定できます。
1-2.一般型(専用室独立実施)
在園児とは別の専用スペースを設けて保育をおこなう方法です。専任の職員が対応するため、従来の利用定員に影響しません。職員と保育スペースが確保できれば、受け入れ定員を自由に設定できます。
1-3.一般型(独立施設)
保育園などに併設するのではなく、こども誰でも通園制度のみを実施する施設として運営する方法です。職員と保育スペースは運営基準を満たす必要があります。
(2)余裕活用型
利用定員に達しない保育施設が、定員の範囲内で受け入れる方法です。合同で実施する一般型と同様に、子どもにとっては在園児との関わりが多い点が特徴です。また、職員確保が比較的容易といえます。
人員配置
人員配置は、実施の種類別に以下のように定められています。
実施の種類 | 人員配置 |
|---|---|
一般型 | 0歳児:3人につき保育従事者1人以上 1〜2歳児:6人につき保育従事者1人以上 ※保育士の数は半数以上 ※保育従事者の数は2人以上。 |
余裕活用型 | 0歳児3人につき保育従事者1人以上 1〜2歳児6人につき保育従事者1人以上 ※クラス定員に対する人員配置で対応可 |

