2025年のチーム完投数は、山﨑と赤星の1つずつ。広島の11、阪神10、DeNAの8、中日の5に次いで、セ・リーグ5位である(ヤクルトは1)。
そして、規定打席に達しているのは3人のみだ。ショートを守る泉口が3割1厘の打率を記録しているものの、吉川が2割7分台、キャベッジが2割5分台。以上だ。少なく感じるのは、岡本の不在に起因する。阿部監督以下の首脳陣があたふたしてしまい、連日のように打順をいじくり倒してしまい、好成績を残せなかった。これでは、選手たちからしても不安のほうが勝ってしまう。
※本記事は、江本孟紀著『長嶋亡きあとの巨人軍』より適宜抜粋したものです。

◆巨人は「地獄の伊東キャンプ」を再び行いなさい
阿部監督の評価を判断するのは時期尚早ともいえるが、2026年シーズンもこのような野球を繰り返してしまうようでは、監督として不適格の烙印を押さざるを得ない。そうならないようにするためにも、やることは一つである。それは「選手を徹底的に鍛え上げること」だ。1979年秋に行われた「地獄の伊東キャンプ」を再現するのも面白いのではないか。
かつての中畑や江川、西本聖らと同様、指定強化選手の名のもとで、10数名の選手をピックアップする。そして、キャンプ期間中は徹底的にしごき上げる。シーズンを乗り切るための体力や技術が不足しているのであれば、四の五の言わせずオフに鍛えるしかない。今の巨人の選手たちに必要な通過儀礼なのではないか。
◆「選手がかわいそう」という声に対しては…
一部のファンから「選手がかわいそう」と批判する声も出てくるかもしれない。だが、そんな声はお構いなしに、阿部監督が、「今年負けたのは、彼らの体力や技術が劣っていたから。だから鍛えてあげているんです」と言い放てばいい。ネット上の炎上などクソ食らえだ。最近は何かあると「パワハラだ」と主張する連中がいるが、何でもかんでもハラスメントと認定されることによって、大事なものが失われているような気がしてならない。まずは、「未熟でスタミナ不足の選手を鍛えることの何が悪い」という強い姿勢を示す。そして翌シーズンに目に見えた結果を残すことができれば、こうるさい外野は軒並み口を閉ざすようになるのではないか。
それに強化指定選手の枠を作ることには、もう1つの意味がある。ここに選ばれなかった選手は、すなわち「いつクビを切られてもおかしくない」わけだ。危うい立場を自覚させることにもつながる。

