◆インバウンドの経済損失など序の口に過ぎない

これに台湾統一を目指す中国は猛反発し、14日に日本への渡航自粛を公告。団体旅行のキャンセルが相次ぎ、インバウンドの経済損失は1兆7900億円との試算もある。
19日には水産物の輸入を全面停止し、日本経済を揺さぶりに来たが、これはほんの序章にすぎない。専門家が警告するのは、これから先に起こり得る日本経済を凋落させる“最悪のシナリオ”だ。
キヤノングローバル戦略研究所上席研究員兼中国センター長の峯村健司氏が解説する。
「中国は台湾統一に際して軍事力の行使を否定していないが、その手法は従来の戦争の概念とは大きく異なる“新型統一戦争”になる。市民の生命や社会インフラに極力損害を与えずに、台湾をそのまま機能した状態で支配下に置こうとしているのです。その理由の一つは、TSMCを中心とする世界最先端の半導体サプライチェーンを“無傷で”手中に収めたいから。世界の先端半導体の92%が台湾で製造されており、日本の自動車、家電、通信機器など幅広い産業がここに依存している」
◆物流や金融をサイバー攻撃されればひとたまりもない

「中国は日本や米国に軍事力だけでなく“経済とサイバー”を組み合わせて圧力をかけ、台湾を統一交渉のテーブルに引きずり込もうとするでしょう。存立危機事態の手前段階でも、日本に対するサイバー攻撃が本格化し、物流・金融・通信といった“経済インフラ”に深刻な支障が出ます。企業活動は大幅に停滞し、鉄道や航空のダイヤも乱れ、サプライチェーンが機能不全に。金融システムに障害が出れば、株式・為替市場は一気に暴落し、日本経済は混乱に陥る」
では、具体的にどの分野が真っ先に中国の“経済カード”となり、日本に襲いかかるのか。この点を読み解くのが、経済評論家の三橋貴明氏だ。
「次は、レアアースの輸出制限と見て間違いない。ボトルネックを押さえられると、経済は一気に厳しくなる。レアアースは中国が世界生産量の7割、精錬量の実に9割を握っており、’24年の日本の対中依存度は71%と高い。禁輸されれば、スマホやパソコンから医療機器、電気自動車や戦闘機までの生産が止まり、国内ハイテク製造業は壊滅的な打撃を受けます。部材調達コストは品目によって数倍に跳ね上がり、最終製品の価格も数十パーセント単位で上昇せざるを得ない。他産業への波及は避けられません」

