◆原油が入らなくなれば米5kg/1万円も見えてくる!?

「日本は原油の99.7%を輸入に頼っており、そのうち95%以上を中東に依存している。LNG(液化天然ガス)や食料も海外依存度が高いが、世界各国から調達できる。だが、シーレーンを海上封鎖されたら、中東に依存している原油は日本に入ってこなくなる。全産業の生産が停滞するのはもちろん、ガソリンが高騰して運送費が嵩み、食料品を含むすべてのモノが暴騰。電気・ガスなど公共料金も値上がりする。少なく見積もっても、生活コストは倍増するでしょう。農産物や水産物への影響は少ないと考えがちですが、生産に必要な機械を動かすのはガソリンや電気。燃料代の高騰によって、米(5kg)が1万円以上になってもなんら不思議ではない」
では、最も明瞭な指標である日経平均や為替はどうなるのだろうか。経済評論家の佐藤治彦氏の予想は、暗澹たるものだ。
◆GDPは半分消失。株価、為替も影響大
「バシー海峡が封鎖され、存立危機事態で自衛隊が防衛出動、さらに日米安保条約によって米軍も参戦する事態となれば、少なく見積もっても日本の株式市場の時価総額1200兆円の2~3割に相当する300兆円が吹き飛ぶ。つまり、GDPの半分が消失してしまう。日経平均は2万~3万円、為替は一瞬で1米ドル/200円に暴落するでしょう。武力攻撃事態となり交戦となれば、さらなる下落も避けられない」株価急落と円暴落は、単なる市場の混乱では終わらない。
「加えて、企業の倒産は連鎖し、賃金は追いつかず、生活費だけが膨張していく。“働いても暮らせない層”が雪崩のように増え、社会全体が貧困へと沈むでしょう」
現状変更を強行する中国に屈してはならないが、台湾有事の経済損失は、国家と国民生活の両方を直撃する“未曽有の危機”である。

