◆「強く言える人」だけが目立つ社会は、何を生むのか
――トランプやイーロンの台頭は、アメリカの未来に何を示していますか?一つは、「強い言い方が政治や社会を動かしやすくなる」ということ。勢いのある言葉ほど複雑さを削り、判断の材料を単純化してしまいます。もう一つは、“語れない人”が置き去りになりやすい点です。生活の事情が複雑でも、それを語る余裕がない。アメリカでは、こうした人々の不満が蓄積し、政治を大きく動かす力になりました。
◆著者が見た「アメリカの底にある空気」
――取材をしていて、どんな空気を感じました?「以前の社会のルールが、もう機能している実感がない」という感覚が最も強かったです。制度自体は動いているのに、人々の納得が追いつかない。すると、“強く語る人”に寄っていく動きが生まれる。これはアメリカに限らず、日本でも起こり得ることだと思っています。

