◆3歳馬2頭が抱える“具体的なリスク”
3歳馬の2頭が抱える不安要素は斤量差以外にもある。ナルカミはここまで6戦5勝と底しれぬ強さを見せているが、唯一7着に敗戦した舞台が今回と同じ中京の1800mだった。また、古馬との対戦は3走前のいわき特別(2勝クラス)のみで、年長世代の一線級とは今回が初顔合わせ。脚質的にも、これまで逃げて他を寄せ付けない競馬を見せているが、今回は6枠12番とやや外目の枠に入ってしまった。未経験のもまれた競馬になった時に思わぬ惨敗の可能性もあるだろう。
ナルカミ以上にタフな枠順に入ったのがルクソールカフェで、なんと大外16番枠に収まった。この枠ならもまれる心配はないが、コースの形状を考えれば、かなりの距離ロスを強いられそう。過去10年で8枠の馬は【1-0-0-18】。唯一の好走は2年前のレモンポップで、その時は大外からハナを奪うことで道中の距離ロスを消すことに成功した。
ルクソールカフェは先行と差しのどちらでも結果を残しており、アメリカの名手F. ジェルー騎手も大きな味方となるだろう。ただし、同騎手は今回が初来日。16番枠からひと工夫もふた工夫も必要となりそうだ。
◆牝馬ダブルハートボンドも苦戦必至?
また“3強”の一角を担うことになる、4歳牝馬のダブルハートボンドも苦戦は必至だろう。同馬はこれまで7戦6勝、2着1回とその素質をいかんなく発揮している。近3走はいずれも牡馬との混合戦で、前走の「みやこS」はJRAレコードで押し切る強い内容だった。
ただし、JRAのダートG1は牝馬にとって鬼門。牡馬と対等に戦うことは容易なことではない。舞台が阪神1800mとなった2008年以降、牝馬の成績は【1-0-0-14】で、12番人気のサンビスタが2015年に金星を挙げたのが最初で最後だ。
そもそもJRAのダートG1を制した牝馬はサンビスタの1例だけで、フェブラリーSと合わせた牝馬の通算成績は【1-1-3-57】と振るわない。やはりダートG1は、牝馬を割り引いて考える必要があるだろう。
ただダブルハートボンドに勝機が生まれるとすれば、勝ちパターンにもなっている2番手をすんなり取れた時だろう。枠順は絶好の1枠2番をゲットし、さらに最内枠に逃げ候補のウィリアムバローズが収まった。
ナルカミやペプチドナイルなど他にも先行したい馬がいるが、枠の並びを考えれば、この馬が最もうまく立ち回ることになるだろう。

