◆穴馬候補となる2頭の馬とは
それでもやはり、上位を形成する3強には少なくない不安要素が存在し、その評価は下げざるを得ない。そこで、波乱の目も十分あると見て、穴候補2頭の名前を挙げておく。1頭目は、落馬負傷した浜中俊騎手に代わって武豊騎手が代打騎乗を果たすメイショウハリオだ。G1・4勝の実績はこのメンバーでも最上位。すでにピークは過ぎている8歳馬だが、今年は4月の川崎記念を制覇し、前走のJBCクラシックでも2着に好走している。
何より鞍上の武騎手の存在が心強い。武騎手はここ数年のG1において、テン乗りでしっかり結果を出しているからだ。今年はNHKマイルCで3番人気のマジックサンズを4角ほぼ最後方から2着に持ってきたほか、秋華賞は絶妙な逃げでエリカエクスプレスを2着に導いた。
他にも昨年の菊花賞で7番人気のアドマイヤテラを3着に、22年の大阪杯で同じく7番人気のアリーヴォを3着に持ってきている。いずれも勝負どころで早めに動いて馬の力を100%引き出すことに成功する好騎乗を見せてのものだった。
メイショウハリオは差しタイプの馬だが、枠順(2枠3番)を生かして、距離ロスなく末脚を温存したいところ。最後の直線で進路が開けば、ラストランを勝利で飾ってもおかしくない。武騎手は初コンタクトを取った最終追い切り後に、「チャンスはある」と色気たっぷりのコメントを残しているのも心強い。
◆絶好枠ウィリアムバローズに勝機は舞い込むか
穴候補の2頭目は、絶好枠を引いたウィリアムバローズの名前を挙げておく。こちらは枠順を生かした単騎の逃げが見込める。過去10年の逃げ馬は【2-0-3-6】と高い確率で馬券に絡んでいて、2番手をうかがうダブルハートボンドとナルカミがお互いを牽制しあって仕掛けが遅れるような展開になれば、伏兵のウィリアムバローズがまんまと逃げ切るシーンがあっても不思議ではないだろう。
なにより、この馬はダート1800mで通算【6-4-1-1】というスペシャリスト。昨年9月の日本テレビ盃以来となるベスト距離で粘り込みに期待したい。ずばり、今年のチャンピオンズCはメイショウハリオとウィリアムバローズで大勝負だ。
文/中川大河
【中川大河】
競馬歴30年以上の競馬ライター。競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。競馬情報サイト「GJ」にて、過去に400本ほどの記事を執筆。

