更年期を経て「今がいちばん心地いい」という齋藤さんに、更年期世代のための美容の心得と、来たる「閉経」について伺いしました。
人生の先輩のアドバイスをぜひ参考に！
美容ジャーナリスト
齋藤 薫さん
エッセイスト。女性誌編集者を経て、多数の女性誌やウェブメディアに連載エッセイを持つ。化粧品の開発やアドバイザーなど幅広く活躍。
著書『“ 一生美人”力』シリーズ（朝日新聞出版）ほか多数。
更年期を心地よくすごす心構え
1. 知的欲求を高めよう
知的好奇心こそ、よく効くエイジングケア。
チャットGPTを使ってみたり、子どものようにAIと遊んでみると脳年齢も若返る。
2. どんどんおしゃれをしよう
買い物や病院、ちょっとそこまで、のビジュアルに一番年齢が出るもの。
年齢を重ねるほどにおしゃれをして、印象年齢を変えていこう。
3. 口にするものを大切に
更年期世代は、今までのスキンケアだけでは到底追いつかない。
美容の主軸をインナーケアに置いて、体の内側から若さを保とう。
更年期に関する情報が少なかった時代を乗り越えて
約半世紀にわたり美容業界を見つめ、美の巨匠として知られている齋藤 薫さん。
時代を切り取る鋭い視線を持ちながら紡ぐ端正な文章で、女性の美に対する価値観を刺激してくれています。
これまで多くの著書を出版してきた齋藤さんが、「閉経」をテーマにしたエッセイ『年齢革
命』を刊行し、話題に。
タイトルの副題「閉経からが人生だ！」からもわかるように、まさに、更年期を迎える50 代女性の背中を押してくれる珠玉の1冊です。
ご自身もつらい更年期を経験したという齋藤さん。
「振り返ると、私は更年期障害にかなり苦しめられたのですが、実は当時はそれがすべて更年期の症状だという自覚がなかったんです。
あの頃は友人同士で話題にする機会もなく、今思うと孤独な時代だったと思います。わかりやすい症状でいうとホットフラッシュが何度も訪れ、頭だけのぼせた状態になるのは日常茶飯事。頭痛と肩こりもほぼ毎日で、不眠になり、2年間くらい更年期症状に悩まされていました」
今ほど更年期に関する情報があるわけではなく、自分で更年期症状から脱け出す方法を見つけていた、と振り返ります。
「病院でホルモン療法に挑戦してみたり、漢方を試したけれど体に合わなかったり。たまたま知人からビタミンCとE、コエンザイムQ10を合わせて飲むといいと聞き、早速試してみたら嘘のように症状が治まったんです。
どれも細胞のエネルギーを上げてくれる栄養素なので、今思えば生命力自体が落ちることも原因なのかなと思います」
49歳は一番不幸？必ず黄金期がやってくる
世界規模で行われた幸福度研究によれば「一番不幸を感じる年齢」と聞かれ「49歳」と答えている人が多いそう。
「平均値というより、リアルな不幸年齢で誰もが思い当たるはず。私もまさに50代を目前にした49 歳で、不安や不眠症になり、40代とは違うフェーズにどんどんネガティブになっていたと思います。
でも、更年期を乗り越えたときに黄金期がやってきます。私は生理も重く、ホルモンの影響をかなり受けていたのですが、閉経後、こんなに楽なのだと実感しました。
ホルモンバランスが安定しているせいか、美容の効く肌になり、肌の調子も上向きに。今、ちょうど更年期に悩まされている方は、必ず満たされるタイミングがやってくるので楽しみにしていてほしいです」
閉経というワードが広く受け入れられる時代に
閉経について、近頃はメディアでも目にするようになってきたものの、齋藤さん自身ネガティブな印象を持っていたそう。
「当時はなんとなく女性でなくなることが怖く、自分が閉経したことをどこか認めたくなくて。とある健康調査の問診票に〝閉経していない〟と回答したことも。馬鹿げた嘘なのですが、隠したかったんですよね」
ところが2025年に女性誌で閉経に関するイメージを聞いたところ、59％の女性が〝ネガティブに思っていない〟と回答。
「閉経のイメージがだいぶ変わってきましたよね。さらに閉経というワードがポジティブなものになっていってほしいと思います。執筆しながら閉経後に訪れるメリットを考えていくと、新しい気づきも。輝かしい未来に向けて、ぜひ心地よく、更年期を乗り越えていってください」
『年齢革命 閉経からが人生だ！』
著／齋藤 薫
¥1,650（文藝春秋）
50年にわたり美容業界を見つめてきた齋藤 薫さんが贈る、人生100年時代の美容＆ライフスタイル教典。
豊かに生きるためのヒントが満載。盟友・藤原美智子さんとの対談も掲載。
イラスト／長谷川ひとみ 文／佐久間千絵
大人のおしゃれ手帖2025年11月号より抜粋
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