◆始まった仲間はずれ

「最初は、お友達を呼んでるのかなと思ってたんです。でも翌日、廊下ですれ違った隣の奥さんから『昨日はお出かけだったんですってね。BBQ楽しかったわ』って言われて……」
それは、前回のパーティーと同じ顔ぶれで開かれていたBBQ。そこに加藤家だけが呼ばれていなかったことが明らかになりました。あえて外されたのか、それとも単なる偶然なのか。そう自問しつつも、他の住人たちの微妙な距離感を敏感に察知せざるを得なかったといいます。
「いやな感じ、というより、なんとも言えない寂しさでしたね。うちは何か悪いことをしたのかって、つい考えてしまいました」
◆もうここには居られない…
その出来事を境に、周囲の住人たちとの関係にも変化が表れました。以前はエレベーターで顔を合わせれば自然に交わされていた挨拶も、どこかぎこちなくなり、声をかけられることが減っていったといいます。「妻が特に気にするようになってしまって……。もともと人間関係に敏感な性格なので、精神的にかなり参っているようです」と加藤さんは話します。最近では夜になるとカーテンを早めに閉めたり、外出を控えるような様子も見られるとのこと。
加藤さん自身も、あのときの“無言の線引き”が今も心に残っているといいます。
「立場がどうとか、肩書きがどうとか、そんなことで人付き合いが決まるのは残念ですよね。でも現実として、そういう壁ってあるんだなと実感しました」
終の住処として購入した我が家だったはずが、今では1日でも早くこの場所を去りたい気持ちでいっぱいで、売却も検討しているそうです。
<TEXT/八木正規>
【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営

