3万円の予算でコートを買いにいくと、ショーウィンドウに10万円のコートが展示されていた。
「あれ?予算足りるかな…」
ドキドキしながら店に入ると、6万円のコートがあったので、ほっとして試着してしまった。冷静に考えたら、当初の予算の2倍もするのに…。
こんな経験はありませんか?
実はこれ、店側の“仕掛け”にまんまとハマっているかもしれません。
今回は、昼は経済レポーター・営業職として上場企業の社長たちと、夜は銀座ホステスとして多くのお客様と接してきた私が現場で学んだ「買わせるための仕掛け」と、意外な応用方法についてお話しします。

◆知らないうちにハマっている“お得感”の罠
人は、最初に高い値段を見せられると、それが基準点になって、その後に見た値段を安く感じてしまうーーこれは行動経済学の「アンカリング効果」という心理です。アンカリング効果は、冒頭のコートの例のように、店頭でとてもよく使われています。
高い商品を用意して他を安く見せる。値下げ品には値下げ前の定価も表示しておくーー様々な形で、お得感をあおって物を買わせる罠が仕掛けられています。
◆20万円のシャンパンが安く見えるテクニック
夜の世界でも、アンカリング効果は売上を上げるテクニックとして使えます。たとえば、お客様にシャンパンを入れていただく場面。
20万円のシャンパンを入れていただきたければ、最初に30万円のシャンパンを振ってみるのです。

