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ドバイのタクシー90%がトヨタ「走行100万キロでも壊れない」…日本製品に対する〈深い信頼〉の行方

ドバイのタクシー90%がトヨタ「走行100万キロでも壊れない」…日本製品に対する〈深い信頼〉の行方

海外を旅する中で、信頼できる日本製品を通して日本人に対してリスペクトの気持ちを伝えてくれる場面がある。しかし、それはこの先も続くのだろうか――。本記事では、30歳目前でサラリーマン生活に終止符を打ち、現在は世界を旅しながら2児を育てる森翔吾氏の著書『すべては「旅」からはじまった 世界を回って辿り着いた豊かなローコストライフ』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編。ドバイでの体験を通して仕事と未来について考えていきます。

海外で日本人がリスペクトされるのは、先輩たちの努力があるから

ドバイでは、タクシーの90%がトヨタ車だ。僕が日本人だとわかると、多くのタクシードライバーが「トヨタ・カムリ最高!」「トヨタGOOD GOOD!」と手放しで褒めてくれるし、握手を求められることもある。

この前は、もうすぐ走行距離100万キロになる2016年モデルの「トヨタ・カムリ」を運転しているパキスタン人のタクシードライバーに会った(正確には走行距離98万6569キロ)。

一般的に日本では、車の寿命は「10年」「10万キロ」と言われる。10万キロを超えると、パーツが劣化し、エンジントラブルなどが多くなるからだ。にもかかわらず、100万キロ! そんな車を見たのは初めてだった。これは日本の皆さんにもお知らせしなければいけないと思い、急遽、ドライバーに撮影許可をもらってカメラを回し、YouTubeにアップした。

そのときの会話は、こんな感じだ。

「ワァ、もうすぐ100万キロだ!」

ドライバー(以下、ド)「ハハハハ。この車は2016年モデルで、今は2025年だから、もうすぐ10年になる。たぶん、今月で引退かな」

「リタイアするの? 100万キロなんて見たことないよ。トラブルはないの?」

「ノートラブル! 本当に良い車だよ」

「パートナーと一緒に使っているの?」

「私のパートナーは深夜担当ドライバーで、私が午前4時~午後4時まで運転して、パートナーが午後4時~午前4時まで運転する。12時間運転したらパートナーに交代。ドバイのタクシー車両は、すべて24時間稼働しているんだ」

「マジか!(笑) 24時間エンジンONなんて、びっくりだよ」

「レストランで食事をする15分間と、モスクでお祈りをする5分間は休むよ。中国車っていう選択肢もあるけれど、微妙だね。中国車をタクシーとして24時間使ったら、10万か20万キロで引退かな。日本車は高いけれど、すごく高品質だよ。でも、メーターが99万9999になったらおしまい(笑)」

それはそうだ。それ以上走行しても、もうカウンター表示できないのだから。ところが、パキスタン人のドライバーは続けてこう言って笑った。

「この車の前は2018年モデルのトヨタ・カムリに乗っていた。そのときは100万キロ走行した後、さらに一カ月間乗ったよ(笑)」

ドバイでは100万キロ走行は当たり前ということか。いずれにせよ、日本の車がこれだけ信頼されているのは、素晴らしいことだと思う。

子どもの時代まで誇れる仕事をしたい

それから数日後のことだ。ドバイの街中で「Are you Japanese?」と、サウジアラビア人に声をかけられた。「そうです」と答えると、握手を求められ、連絡先を教えてくれて、「何か困ったことがあったら、いつでも電話して」と言われた。

その人は、美しく磨き上げられた2004年モデルの「日産スカイラインGT-R」に乗っていた。今では、日本でもなかなかお目にかかれない名車を探して買うのだから、相当な車好きなのだろう。記念に写真を撮らせてもらった。日本製品を愛し、日本人までリスペクトしてくれる真摯な態度に、心を打たれた瞬間だった。

格差社会のドバイだが、日本人はどこに行ってもリスペクトをもって迎えられる。それは、日本の経済成長を担ってきた先輩たちが、信頼される仕事をしてきたからにほかならない。

トヨタ車はタクシーに使われている「カムリ」だけでなく、「ランドクルーザー」も人気で、1分に1台は見かける。三菱のエレベーターやTOTOのトイレ、ダイキンのエアコンなど、あらゆるところに日本製品が溢れていて、現地人も、出稼ぎに来ている人たちも、「日本製が一番だ」と言う。ありがたいことだと思う。

自分の子どもたちの時代まで、「日本製が一番だ」と言ってもらえる仕事ができるだろうか。最近、そんなことをよく考える。

森 翔吾

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