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“都市部”は強者の戦場?市場の小さい「地方戸建て」こそ不動産投資で狙い目な理由

“都市部”は強者の戦場?市場の小さい「地方戸建て」こそ不動産投資で狙い目な理由

不動産投資にはさまざまな選択肢が存在します。市場のセレクトにおいても、都市部のような競合が多いエリアもあれば、地方のような選択肢が限られる地域もあるでしょう。例えば、比較的小さなマーケットである「地方戸建て物件」に不動産投資を行うとしたら、どのような戦略が必要でしょうか。本記事では、宮崎俊樹氏の著書『空き家は使える!戸建て賃貸テッパン投資法 2ndエディション』(技術評論社)より、初めての不動産投資に「地方戸建て物件」をおすすめする理由を解説します。

不動産投資のなかで「地方戸建て」を選んだ理由

筆者が不動産投資の一歩を踏み出し始めたころ、忘れられない1冊の本に出会いました。企業コンサルタントとして著名な竹田陽一先生が書かれた『小さな会社・儲けのルール ランチェスター経営7つの成功戦略』(フォレスト出版)です。

本のなかで語られるランチェスターの法則は、もとは第一次大戦中にイギリスのフレデリック・ランチェスターが確立した戦略理論なのですが、現在では企業のマーケティング戦略として広く応用されています。

このランチェスターの法則には2つの戦略があります。強者の戦略と弱者の戦略です。強者の戦略は、サラリーマン大家さんなど一般的な兼業不動産投資家には無縁ですからここでは割愛させていただきます。

筆者が注目したのは弱者の戦略のほう。弱者の戦略を一言でいえば、「弱者は競争が少ないニッチを攻めろ!」というもの。大きなマーケットは資本力がある強者の戦場。そこで弱者が戦いを挑んだところで負けは明白。弱者は強者が狙わないような小さなマーケットでゲリラ戦を挑め、というものでした。

不動産投資に置き換えると、一般的な兼業投資家は弱者です。弱者が狙うべき小さなマーケットとは、筆者にとっては地方、そして戸建て物件でした。

都内で行われる不動産投資セミナーに顔を出すと、いまも盛況なところが多いようです。都内には勉強熱心な大家さん(とその予備軍)が数えきれないほどいます。潤沢な資金を抱えている方も大勢います。

ですが地方の物件の大家さんはどうでしょう。

「地主系の大家さん(※1)」が多く、不動産投資の勉強にもあまり熱心とはいえません。
 

※1 地主系の大家さん

先祖代々土地を所有し、その土地や不動産を活用して家賃収入を得るスタイルの大家さんのこと。すでに所有している土地にアパートや戸建てを建設し、長期スパンで不動産を運営することが多い。長期的な資産形成を目指し、安定的なキャッシュフローを重視する傾向がある。また、所有する土地や物件に対する愛着が強く、地域に根ざした経営を行うことも特徴。


以前、筆者自身が住むために戸建て賃貸物件を探していたときのことです。仲介業者に何戸か賃貸用の戸建てを案内してもらいました。内見して驚いたのですが、ほとんどの物件がまともにクリーニングされていませんでした。

庭の雑草は伸び放題でジャングルと化しています。しかもそのような物件に限ってなぜか強気の賃料設定です。何が起こったのか室内でダンゴムシが大量死している物件もありました。壁紙を見るとカビだらけで、仲介業者にそのことを指摘すると、「入居が決まったら壁紙交換するみたいですよ」なんて悠長なことをいっています。

これが地方の大家さんのレベルです。競争が激しい都内の賃貸物件では考えられないことでしょう。孫子も「善よく戦う者は、勝ち易きに勝つ者なり」といっています。「戦い上手な人は、勝ちやすい人に(機会に)勝つ人だ」ということです。

また、参入障壁の観点からも地方は有利です。

まず、資本力のある強者が地方で戸建てをチマチマやっていくのは効率が悪い。そして地方は人口減少が激しく、空き家リスクが高いという先入観があります。実際に空き家は多いのですが、そこにはやる気の乏しい大家さんの物件がかなりの割合を占めていることが多い傾向にあります。投資家の方々は地方の高い利回りには非常に興味を持たれているようですが、本当に賃貸が付くのかどうか心配で二の足を踏んでしまうようです。

また都市部に住んでいる投資家さんからすると、地方の物件は遠方の物件ということで内見に行くのも一苦労ですし、基本的に地方の物件は融資が付きづらいので買いにくいことも障壁の1つになります。

これらの理由から、筆者はライバルが少なく、かつライバルが弱い地方エリアで不動産投資を行っています。

資産価値よりも“いくらの家賃をいただけるか”

もう1つ、筆者が地方物件を選ぶ理由があります。都市部の物件と地方の物件では、資産価値に大きな違いがあります。当然、都市部の物件のほうが資産価値が高いので物件価格が高くなります。では、その分高い賃料を設定できるかといえばそうでもありません。

たとえば同じスペックの戸建てが、筆者の住む千葉県でも都会寄りの船橋と少し田舎のほうの九十九里にあったとします。資産価値は圧倒的に船橋の物件のほうが高いでしょう。ですが船橋の物件は、それに見合うだけの高い賃料をいただけるかといえばそうでもありません。

九十九里で6万円の賃料をいただける物件と同じスペックの物件があったとして、船橋では7〜8万円くらいの賃料になると思います。しかし物件価格は九十九里で400万円とすれば、船橋では700万円くらいはします(あくまで一例の数字です)。

資産価値を測る指標の1つに 積算評価 (※2)があります。
 

※2 積算評価

不動産を評価する指標の1つで、主に銀行が担保評価額を測る目安として用いている。物件を担保に入れて借入をする場合は、銀行では積算評価によって担保価値を判定し、融資額を検討する。積算評価は土地の資産性や建物の築年数などが重視され、物件の収益性は考慮されずに算定される。地方戸建ての場合、築浅物件やかなりの好立地に建つ物件でなければ積算評価は低くなるため、物件を担保に銀行から借入を起こすことは難しくなる。


銀行は主にこの積算評価で物件の資産価値を測るのですが、積算の評価が高いからといっても、売却するときにその値段で売れるとは限りません。積算評価が600万円でも売却価格は500万円にしかならないかもしれませんし、積算評価300万円の物件が400万円で取引成立となるかもしれません。

物件の資産価値が大事になってくるのは銀行からお金を借りるときだけです。資産価値が高いことは融資を引き出すときに有利に働きます。それ以外は資産価値が高ければ固定資産税が高くなりますし、いいことはありません。

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