深刻な空室率に対抗できるのは戸建て物件
少子高齢化とともに人口減少が進んでいます。それにもかかわらず賃貸物件は増え続けています。なぜ人口が減少しているのにアパートをはじめとした賃貸物件を建て続けるのでしょうか?
その原因の1つは相続税にあります。
日本の相続税法はただ土地を持っているよりも、その上にアパートやマンションを建てたほうが得する仕組みになっています。そのため、アパートやマンションから利益を得られにくくなっても、「相続税が減らせるなら」と考えてアパート物件を建設する人がいるわけです。
日本の賃貸住宅の空室率はおおむね右肩上がりが続いており、18%オーバーが当たり前になっています。これからもアパート物件は供給されて物件数が増えていくけれど、人口減少で住む人は減っていく。価格競争が激化して賃料は減少一途をたどり、不動産賃貸業で利益を出せなくなってしまう。このような状況で兼業不動産投資家がアパート物件を運営していくのは簡単ではありません。
[図表1]賃貸住宅戸数と賃貸住宅の空き家率推移
戸建て賃貸の場合は、筆者の経験からいうと、求められる量に対して供給できている量が十分ではないため、不動産賃貸業受難の時代にあっても賃貸は付きます。
筆者にいわせれば、賃貸物件の最後の砦が戸建て賃貸物件です。戸建ての需要まですっかりなくなってしまう地域があるとすれば、もうその地域には賃貸の需要はないと言い切ってもよいのではないかと考えています。
初心者に戸建て賃貸をおすすめする理由
初心者がいざ地方に建つ戸建て物件を買うとなったとき、まず不安になるのは「本当に借り手が付くのかどうか」だと思います。
ここで考えないといけないのが需要と供給の関係です。いくら安い物件を買っても客付けできなければ意味がありません。アットホームやスーモなどの不動産ポータルサイトを見てもらえばわかりますが、先ほどお話ししたとおり地方でもアパート物件はたくさんあります。
一方で戸建て物件は少ないのです。
たとえばアットホームで千葉県M市の賃貸物件を検索してみると、ヒットする物件数は952件でした。これに戸建て物件の条件をプラスして絞り込みをかけると52件まで減少します。20分の1にまで減ってしまうということです。しかも、この52件には テラスハウス物件(※3)も含まれているので、独立した戸建ての戸数は52件よりもさらに少なくなります。
※3 テラスハウス
一般的に1階建てまたは2階建ての連棟住宅を指す。それぞれの住戸が独立した入り口を持ち、隣接する住戸と壁を共有する形式の住宅のこと。
この一例からも戸建て賃貸は「需要>供給」というイメージをつかんでもらえるでしょう。
実際のところ、筆者が所有している戸建て物件の大半が募集から1カ月以内で客付けができています。それくらい戸建て物件というのは客付けで優位なのです。もっとも、いくら客付けしやすい戸建て物件であっても、まったく賃貸需要がないエリアでは客付けで難儀するのはいうまでもありません。当然のことながら戸建て物件でも事前のリサーチが欠かせません。
