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ASEANで唯一G20加盟国「インドネシア」の大統領が、初めての外国訪問で、米国でも日本でもなく「中国」を選んだワケ

ASEANで唯一G20加盟国「インドネシア」の大統領が、初めての外国訪問で、米国でも日本でもなく「中国」を選んだワケ

中国人にとって、インドネシアは人気の観光地

中国との人的交流は、地理的に近いこともあって盛んです。インドネシアへ入国した人の内訳を見ると(図表5)、中国からの入国者はコロナ前(2017~19年)の平常時で14%(年平均210万人)と、マレーシアより少ないものの、シンガポールより多く、日本の約4倍でした。中国人旅行者にとってインドネシアが人気のある観光地だということも背景にあります。

出典:CEIC(出所はインドネシア中央統計庁)のデータを元に筆者作成 [図表5]インドネシアの入国者の内訳(2017~19年平均) 出典:CEIC(出所はインドネシア中央統計庁)のデータを元に筆者作成

一方、同時期に中国へ入国した人の内訳を見ると、インドネシアは年平均で約70万人と、日本の4分の1ほどにとどまります(図表6)。

出典:CEIC(出所は中国文化観光部)のデータを元に筆者作成 [図表6]中国本土への入境者の内訳 出典:CEIC(出所は中国文化観光部)のデータを元に筆者作成

人口約3億人…今後も「生産年齢層」は増加見込み

人口は2億7000万人余りと世界第4位の人口大国で、人口構成は富士山型とつりがね型の中間くらいなので、今後も生産年齢層は増加する見込みです。その大部分はマレー系の諸民族で、ジャワ族がその半分弱を占めていますが、スンダ、バタックなど約300とされる民族が存在する多民族国家でもあります。

出典:国連のデータを元に筆者作成 [図表7]インドネシアの人口ピラミッド(2020年) 出典:国連のデータを元に筆者作成

[インドネシア]

生産年齢人口比率:68%

15歳未満の若年層比率:26%

65歳以上の高齢層比率:6%

平均寿命:71.4歳

[世界]

生産年齢人口比率:65%

15歳未満の若年層比率:25%

65歳以上の高齢者比率:9%

平均寿命:72.3歳

締め切りを過ぎてもあせらない…楽観的な性格のインドネシア人

公用語はインドネシア語で、その起源はマレー語とされています。オセアニアに広く分布するオーストロネシア語族に属する言語で、台湾原住民の言語である台湾諸語やマレー・ポリネシア語派とは親戚関係にあります。なお、その他の民族が使う言語や方言も数多く存在しています。

宗教は13世紀にムスリム商人が伝えたとされるイスラム教の信者が9割近くを占めます。しかしイランやサウジアラビアと異なり、イスラム教の法制度であるシャリーアによる統治ではない世俗主義の国です。地域によってはヒンドゥー教徒やキリスト教徒の多い島々もあり、また民族宗教を信仰する人も少なくないようです。

ちなみにインドネシア人は楽観的でポジティブ、そして優しいとよく言われます。その反面、2015年のチャイナショック後、中国に加えてインドネシアにも工場を設けた企業経営者からは、締め切りを過ぎてもあせらないので驚くという声もよく耳にします。

三尾 幸吉郎

ニッセイ基礎研究所 客員研究員

世界経済アナリスト
 

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