◆喧嘩するたびに「マジで別れたらどうしよ」
そもそも、なんで彼氏の名前を入れたんだろうか?「なんか彫りたいなと思ったんですが、私の友達がカップルで名前を入れていて、それでそのまま結婚したので『いいなぁ!私も続きたいな!』って」
定期的にタトゥーを入れていたが、その頃は特に入れたい絵柄もなく「あ、じゃあ彼氏の名前でいっか」という完全なノリだったそうだ。
「と言っても、“モロ!”って感じの名前ではなく、よーく見たら名前ってわかる程度ですが(苦笑)。彫った時は満足感でいっぱいでしたが、彼と喧嘩するたびに『マジで別れたらどうしよ』って毎回不安になるので、入れなきゃよかったってずっと思っています」
ちなみに彼氏は「意外と喜んでいた」んだとか。
◆ベテラン彫り師は「恋人の名前は彫らない方がいい」と断言

「基本的にデザインに関してお断りをすることはありませんが、恋人や配偶者の名前を彫りたいと相談されたときは絶対に断ります。100%後悔すると思います」
TOMさんが強く言うのにはこんなわけがあった。
「今まで恋人や配偶者の名前を彫って『消したい』と後悔している人を死ぬほど見てきました(苦笑)。確かにピコレーザーなどで消せるかも知れませんが、タトゥーを入れた時よりも痛いし、お金もかかる。
“カバーアップタトゥー”といって、元のタトゥーを他のタトゥーで消す(覆い隠す)方法があるんですが、この相談にくるお客さんのほとんどが、恋人の名前を彫った人です。元のタトゥーのサイズや場所、デザインによっては、そんなにうまく隠せない。さらに深く刺しすぎちゃっている場合、結局は名前が浮いて見えたりすることもあります。だから、本当にやめた方がいい」

「子供や親とは離婚しても別れはきませんからね。血のつながっている人の名前は断りません。それはいいかなって。
ただ、すでに全身タトゥーだらけみたいな人なら、恋人の名前も彫ってもいいかもしれませんね。そこまで極めていたら“ネタ”って風にも見えるし、いっぱい入っていたら目立たないので(笑)」
さらに「どうしても恋人や夫婦でタトゥーを入れたい」と言う人には、こういった折衷案を出しているようだ。
「お互いの名前は入れず、サイズや色は一緒だけど、同じキャラクターで絵柄の少し違うものを同じ場所に入れるとかね。それなら別れてもそこまで気にならないはず」


<取材・文/吉沢さりぃ>
【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720

