◆話題になった卒業ドッキリのリアリティ
しかし、前述の通り、話題のドラマなどで俳優としての活躍の幅を広げていた中島は卒業、独り立ちが早いのではということを懸念するファンも一部には存在した。過去のドッキリ番組で中島卒業をネタとしたときのメンバーの受け止め方がリアルすぎて、笑えないという声も多数あがったほどではあった。
何年も前から、他のメンバーよりもグループを卒業することへのリアリティはあったことも確かだ。
もしかしたらまたドッキリじゃないのか!? 最初にそう感じたメンバーもいたかもしれないというくだらない妄想もよぎった。
Hey! Say! JUMPは、デビューの段階からさまざまな紆余曲折を経ながら強い絆を作り出したグループだ。それはきっと間違いのないことだろう。
◆Hey! Say! JUMPの絆を感じる歌詞
彼らの15周年を記念するツアーのラストに披露された、「サンダーソニア」という曲。この曲は、そういった彼らの絆のようなものを強く感じさせるような内容でもあり、ファンの人気も高い。曲の後半に、こんな歌詞がある。
<只此処に咲いた僕らは 二度と離れない
一つも枯らさない>
10人組としてデビューした彼らが、この時点で8人となり、ここからは誰も欠けない(枯らさない)ことをファンと共に誓い合うような、そんなメッセージに受け止められる。
2年後の20周年も、この8人のまま、この曲をパフォーマンスする姿を夢見ていたファンも少なくなさそうだった。
そして、この曲で大きな会場を煽り、ラストのパートを薮宏太とともにハモる中島裕翔の存在感がとても大きかったことも、あらためて感じる喪失だ。
中島裕翔がどのように考え大きな決断をしたのかは分からない。
Hey! Say! JUMPというグループのファンにとっては、その喪失はあまりにも大きいかもしれない。少しだけ静かになったかもしれない。
しかし、その喪失をかき消すような活躍をみせること。花が一輪枯れたわけではない、別の場所で咲いているんだ、そう感じさせること。
それが中島裕翔にとっても残る7人にとってもこれからの大切な目標になる、そんな気がしている。
<文・太田サトル>
【太田サトル】
ライター・編集・インタビュアー・アイドルウォッチャー(男女とも)。ウェブや雑誌などでエンタメ系記事やインタビューなどを主に執筆。

