50代女性の間で関心が高まる「セカンドパートナー」。離婚や慰謝料のリスクはどこから発生するのか、増えているモラハラと関係はあるのか。弁護士・山下環さんと夫婦問題研究家・岡野あつこさんに、セカパの実情と、夫婦関係改善のヒントを聞きました。
「セカンドパートナー」は夫婦を救う?壊す?

人生の折り返し地点に差しかかる50代は、夫婦や男女関係について改めて考え始める時期でもあります。最近よく耳にする「セカンドパートナー」も、そのひとつ。
夫婦問題に詳しい山下環弁護士と、夫婦問題研究家の岡野あつこさん。2人の専門家の知見をもとに、「セカンドパートナー」という関係が夫婦にどんな影響を与えるのか、そして、これからの夫婦関係をどう見つめ直せばいいのかを考えていきます。
セカンドパートナーとは、主に配偶者や正式な恋人以外の「2番目のパートナー」を指し、本来は「肉体関係を伴わないプラトニックな関係」として定義されることが多い言葉です。
「不倫とは違い、精神的なつながりを大切にする関係」とも言われますが、一方で、夫婦関係にどのような影響やリスクがあるのか、冷静な視点も必要になってきます。
セカンドパートナーは法律的にアウト?セーフ?

「肉体関係がないから大丈夫」と考えがちなセカンドパートナーですが、法律の世界ではどう見られるのでしょうか。
たとえ肉体関係がなかったとしても、特定の異性と親密に過ごすことで、配偶者に強い疎外感やストレスを与え、夫婦関係に亀裂を生む可能性があります。その結果、離婚問題に発展してしまうケースもあります。
山下環弁護士は、次のように説明します。
「夫婦の婚姻生活の平和を破壊したと言える場合などは、慰謝料が発生する可能性があります。肉体関係がない場合、慰謝料が認められないケースも多いのですが、実際には認めた裁判例もあります」
つまり、精神的なつながりを重視するセカンドパートナーであっても、
- 異性の友人関係として社会的な常識から大きく外れている
- 夫婦生活の平穏を明らかに乱している
と判断されれば、慰謝料の対象になる可能性があるということです。
慰謝料の金額は、
- 夫婦関係がどの程度破綻しているか
- 問題になっている期間の長さ
- 当事者が受けた精神的苦痛の大きさ
などを総合的に見て決まります。
肉体関係を伴わない場合は、一般的な不倫より金額が低くなることが多いものの、数十万円規模の慰謝料を認めた裁判例もあります。
実際に、肉体関係のない異性の友人関係であっても、結果的に夫婦関係の破綻を招いたとして、44万円の慰謝料支払いを命じられたケースもあるそうです。

