セックスレス問題の背景は、思った以上に深い

次に、今の夫婦が直面しやすい「セックスレス問題」についても触れておきましょう。
一般的には、1年以上性行為がない状態が「セックスレス」とみなされることが多いと言われています。
男性は年齢とともに、体力や機能面から性行為が難しくなることがあります。一方で、女性は閉経後も性的な欲求やスキンシップへの願望が続くことも珍しくありません。この「性のあり方のズレ」が摩擦を生み、パートナーシップに影響することがあるのです(もちろん、男女が逆のケースもあります)。
夫婦問題研究家の岡野あつこさんは、セックスレスに悩むときには、まず原因を見極めることが何より大切だと話します。
「体の問題なのか、心の問題なのか。忙しさやストレス、過去のすれ違いなど、背景は一組一組異なります。必要に応じて、カウンセリングや医療機関の助けを借りることも選択肢のひとつです」
夫婦で対話を重ねることで、関係が改善していくケースも少なくないそうです。セカンドパートナーを持つ前に、「まずは2人の関係をどう整えるか」を考えることが、遠回りのようでいて近道になる場合もあるでしょう。
増える夫婦の悩み…見えにくい「モラハラ」の怖さ

近年、山下弁護士や岡野さんのもとに多く寄せられるようになったのが、「モラルハラスメント(モラハラ)」に関する相談だといいます。コロナ禍による在宅時間の増加なども影響し、悩む女性が急増しているそうです。
モラハラは、目に見えにくい心理的支配や精神的な虐待のこと。具体的には、
- 暴言や人格を否定するような言葉
- 無視や冷たい態度などの継続的な仕打ち
- お金を自由に使わせないなどの経済的支配
などが典型例です。これらの行為は、被害者の自尊心をじわじわと傷つけ、深い精神的ダメージを与えます。
岡野あつこさんは、モラハラへの対処についてこう話します。
「いちばん大事なのは、まず自分の心と体を守ること。そのうえで、日記や録音などの証拠を少しずつ残し、カウンセラーや弁護士といった専門家に早めに相談してほしいと思います」
モラハラで心が傷つき、自信をなくした人の中には、「自分を認めてくれる誰か」を求めてセカンドパートナーに惹かれるケースもあります。心のつながりや安心感を求めるのは、ごく自然な気持ちと言えるでしょう。
ただし、その選択がかえって新たなトラブルや法的リスクにつながることもあるため、感情だけで動かず、冷静な視点を持つことが大切です。

