夫婦関係を見直す第一歩は、日々のコミュニケーション

では、夫婦関係を良好に保つために、私たちにできることは何でしょうか。
山下弁護士は、「日常的な感謝と気遣い」が鍵になると話します。
「『ありがとう』のひと言には、夫婦関係を穏やかに保つ大きな力があります。長く一緒にいるほど、つい省略してしまいがちですが、意識的に伝えることで関係がやわらかくなります」
一時的に距離を置く「卒婚」というスタイルを選ぶ夫婦も増えています。文句を言い合うのではなく、ほどよい距離を保ちながら、それぞれの時間や自由を尊重することで、かえって関係が安定するケースもあるそうです。
岡野あつこさんは、セカンドパートナーについても「一概に悪いとは言えない」としたうえで、次のように続けます。
「大切なのは、夫婦関係を壊さない“距離感”をどう保つかです。セカンドパートナーを、夫婦関係の代わりではなく、あくまで心理的な支えとして位置付けられるかどうか。うまく機能すると、心の余裕が生まれ、結果的に夫婦関係が落ち着くケースもあります」
とはいえ、法律的なリスクや、相手や家族の受け止め方を軽く見ることはできません。「誰かに頼りたくなったときこそ、自分自身と夫婦関係をどうしたいのか」を立ち止まって見つめることが、納得のいく選択につながりそうです。
山下環弁護士と岡野あつこさん、2人の専門家のアドバイスには、「自分の心を大切にしながら、相手との関係もできる限り丁寧に扱う」という共通点があります。50代以降も自分らしいパートナーシップを育てていくためのヒントとして、心に留めておきたいですね。
【監修1】山下環弁護士

山下環法律事務所 代表弁護士。2001年に弁護士登録以来、多くの家事事件を担当し、家庭問題に関して豊富な実績を持つ。
東京地方裁判所非常勤裁判官(民事調停官)や法務省ADR認定機関・離婚サポート調停人、(社)離婚相談連盟理事などを務める。離婚・相続・成年後見等に詳しい弁護士として、メディア出演や書籍執筆などでも活躍。
【監修2】岡野あつこ

夫婦問題研究家、公認心理師。NPO法人日本家族問題相談連盟理事長。これまでに延べ4万件以上の相談を受け、修復を含め数多くの夫婦問題を解決に導いてきた。現在は後進の育成にも力を注ぎ、「離婚カウンセラー養成講座」を運営。
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取材・文=鳥居 史(HALMEK up編集部)

