2025年も、お金に関する制度やルールがいくつか変わりました。ちょっとした変更のようでも、家計や暮らしに影響することがあります。「自分の場合はどうかな?」と照らし合わせながら、主な改正ポイントをチェックしておきましょう。
覚えていますか?2025年のお金にまつわる制度10の改正点

変更点が多く複雑なため、ここで一つずつ整理して確認していきましょう。
住宅ローン減税(2025年入居分)の条件厳格化
2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅は、国が定める省エネ基準に適合していなければ住宅ローン減税の対象外となりました。「長期優良住宅」などの高性能な住宅は、引き続き最大5,000万円の借入限度額が維持されますが、住宅選びでは環境性能の重要性が一層高まっています。
介護保険料の改定(第9期介護保険事業計画)
第9期介護保険事業計画(2024~2026年度)の開始に伴い、65歳以上の方が支払う介護保険料が改定されました。全国の平均基準月額は前期から3.5%上昇し、6,225円となっています。
出典:厚生労働省 第9期介護保険事業計画期間における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について
国民健康保険料の上限引き上げ
自営業やフリーランスなどが加入する国民健康保険料について、2025年度から年間上限額が変更されました。医療分の上限が89万円から92万円へ引き上げられ、それに伴い介護分を含めた総額の上限が106万円から109万円へと3万円引き上げられています。
この改正は、単身世帯のケースで主に年収が約1,170万円以上の高所得世帯に影響します。
年金生活者支援給付金の所得基準引き上げ
公的年金等の収入が一定基準額以下の年金受給者を支援する年金生活者支援給付金の所得基準が、2025年度から引き上げられました。
所得上限は809,000円(昭和31年4月2日以後生まれの方)に緩和され、対象となる方が増えています。また、物価上昇を反映し、給付金の基準額も月額5,450円(従来は5,310円)に増額されました。
出生後休業支援給付金がスタート
共働き・共育てを推進する一環として、男性の育児休業取得を後押しする出生後休業支援給付金が2025年4月から始まりました。
子の出生後8週間以内に、両親がともに14日以上の育児休業を取得した場合、最大28日分の給付金(休業前賃金の13%相当)が支給されます。育児休業給付金と合わせることで、休業中の手取り収入が実質10割相当になるよう支援されます。
出典:厚生労働省 2025年4月から「出生後休業支援給付金」を創設しました
電気・ガスの補助金(激変緩和措置)の終了
物価高騰対策として導入されていた電気・ガス料金の負担軽減策は、2025年夏期(7月~9月使用分)をもって終了しました。この措置により、標準家庭では月々1000円程度の料金が値引きされていましたが、今後はその分の負担が増加する見込みです。特に電力使用量が増える季節には、家計への影響が大きくなる可能性があります。
こうした状況を踏まえ、政府は近く策定する経済対策の中で、電気・ガス代の補助を2026年1~3月に再開する方向で調整に入りました。厳冬期にあたる1月・2月分については、標準的な家庭で各月2000円を超える補助を実施する案が検討されています。これは、2025年7~9月に行われた月1000円程度の補助額の約2倍にあたる水準となります。
教育訓練休暇給付金・リスキリング支援の拡充
働く人の学び直し(リスキリング)を支援するため、2025年10月から教育訓練休暇給付金が創設されました。
雇用保険に5年以上加入しているなどの条件を満たした方が、自発的に30日以上の無給休暇を取得し、IT資格や語学訓練などの教育訓練を受ける場合、生活費として雇用保険の基本手当に相当する額が支給されます。
出典:厚生労働省 令和7年10月から「教育訓練休暇給付金」が創設されます
マイナ保険証への完全移行(紙保険証の廃止)
従来の紙やカード型の健康保険証の新規発行が、2024年12月2日に停止されました。発行済みの保険証は最長1年間(2025年12月1日まで)有効ですが、その後はマイナンバーカードと一体化したマイナ保険証が基本となります。
マイナ保険証の未登録者は資格確認書が発行可能ですが、マイナ保険証を利用することで、医療機関での診療履歴や薬剤情報の共有、医療費控除の申告簡素化など、より質の高い医療を受けられるメリットがあります。また、転職や転居の際にもスムーズに手続きを進められます。
出典:厚生労働省 マイナンバーカードの健康保険証利用について
扶養控除の基準引き上げ(103万円→123万円の壁へ)
税制上の扶養控除が適用される所得基準が、年収103万円から123万円に引き上げられました。これは、基礎控除と給与所得控除の額がそれぞれ10万円ずつ引き上げられたことによるものです。
この改正により、パートタイムで働く方などの働き方の選択肢が広がりましたが、社会保険の加入基準となる「106万円の壁」や「130万円の壁」は引き続き存在するため、注意が必要です。
出典:国税庁 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について
iDeCo受取時のルール変更(5年→10年に延長)
iDeCoを一時金で受け取る際の退職所得控除のルールが変更されます。具体的には、企業などから退職金を受け取ってからiDeCoの一時金を受け取る場合、これまでは5年以上空ければ控除を最大限に活用できましたが、今後はこれまでより長い10年以上間隔を空ける必要があります。
*この変更は2026年1月1日から適用されます。
活用できる制度を知っておこう
制度改正と聞くと負担増の側面に目が行きがちですが、個人の成長やキャリア形成を後押しする新しい支援策も始まっています。
その一つが、仕事を続けながら学び直しに挑戦する方を支える教育訓練休暇給付金です。この制度は、30日以上の長期休暇を取得してスキルアップに励む期間の生活費を支援するもので、収入の心配をせずに学び直しが可能になります。
また、出生後休業支援給付金のように、子育て世代を手厚くサポートする制度も拡充されています。これらの支援策を積極的に活用し、ご自身のライフプランニングに役立てていきましょう。