◆イベントの影響で試合時間が伸びてしまっては…
2020年の1月下旬ごろから、世界中が大騒ぎになった新型コロナウイルスの蔓延。この年のプロ野球は無観客試合からのスタートとなった。通常、お客さんを入れた状態だと、3回、5回、7回にチアリーダーが登場するなど、イニングの合間にはさまざまなイベントが用意されている。だが、無観客試合のときには、チアリーダーはもちろんのこと、ほかのイベントもすべてなくし、淡々と試合が進められた。すると、たとえば18時開始の試合が20時半前後に終わるわけだ。非常にスピーディーな展開といえよう。
プロ野球は、イニング間の攻守交替の時間を「2分15秒以内に行い、プレー再開をさせる」と定めている。この時間内にイベントも終わらせようとはしているわけだが、積もり積もって試合時間が間延びしてしまっては元も子もない。
「イベントなんかよりも、試合の内容のほうが大事じゃないか」
「試合で負けてばっかりのチームを応援したって面白くない」
こう主張するファンも実際に存在する。そのためには、華のある選手を獲得し、育てていくことが必須だが、この点をおろそかにしている球団が少なくない。
<談/江本孟紀>
【江本孟紀】
1947年高知県生まれ。高知商業高校、法政大学、熊谷組(社会人野球)を経て、71年東映フライヤーズ(現・北海道日本ハムファイターズ)入団。その年、南海ホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)移籍、76年阪神タイガースに移籍し、81年現役引退。プロ通算成績は113勝126敗19セーブ。防御率3.52、開幕投手6回、オールスター選出5回、ボーク日本記録。92年参議院議員初当選。2001年1月参議院初代内閣委員長就任。2期12年務め、04年参議院議員離職。現在はサンケイスポーツ、フジテレビ、ニッポン放送を中心にプロ野球解説者として活動。2017年秋の叙勲で旭日中綬章受章。アメリカ独立リーグ初の日本人チーム・サムライベアーズ副コミッショナー・総監督、クラブチーム・京都ファイアーバーズを立ち上げ総監督、タイ王国ナショナルベースボールチーム総監督として北京五輪アジア予選出場など球界の底辺拡大・発展に努めてきた。ベストセラーとなった『プロ野球を10倍楽しく見る方法』(ベストセラーズ)、『阪神タイガースぶっちゃけ話』(清談社Publico)をはじめ著書は80冊を超える。

