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「自民党は保守政党ではない」と言った元衆院議長も 総裁候補の主張はどっちつかずのあいまい路線

自民党総裁選(2025年9月22日告示10月4日投開票)は、5人の候補者の論戦が本格化してきた。石破政権が「中道」と見られて、参政党などに「保守票」を奪われたとの分析から、次期政権は「右派回帰」するとの見方がある。

自民党総裁選各候補者(左から小林鷹之氏、茂木敏充氏、林芳正氏、高市早苗氏、小泉進次郎氏。自民党公式サイトより)

ところが、高市早苗氏が前回は「保守強硬派」と目されて決選投票では裏目に出たとの反省から保守色を薄め、逆に小泉進次郎氏は前回総裁選で主張した選択的夫婦別姓推進論を引っ込めるなど、全体として「独自色」が薄まりつつある。

田中角栄首相のころから「保守からリベラルまでの総合デパート」

衆院議長を最後に21年に政界を引退した伊吹文明・元衆院議長(87)は「自民党は保守政党ではない」という(読売新聞2023年)。

伊吹氏によると、自民党は2010年、民主党政権で野党に転落した時の綱領改正で「常に進歩を目指す保守政党」という表現で、初めて「保守」との言葉を入れたという。この時、綱領を起草した伊吹氏は、「当時の民主党政権との対立軸を打ち出すために、保守色を意識した」という。自民党が合同した1955年11月の「立党宣言」にも「綱領」にも「保守」という文字は見当たらなかった。綱領では「わが党は国民政党」と打ち出し、「共産主義勢力、階級社会主義勢力と徹底的に闘う」とした。自民党は、田中角栄首相のころから「保守からリベラルまでの総合デパート」と言われてきた。

そもそも、この11月に右派社会党と左派社会党が統一した危機感に押された、後追いの「合同」だった。東西冷戦が終結した後の立党50年の綱領でも「保守」を入れることはなく、いつも「保守」は「周囲の変化に押された挿入」だった。

「安倍首相はリベラル政策も」と境家・東大教授

「保守回帰」と言うより、10年近く続いた「安倍一強時代」に戻りたい、という思いが自民党内には強い。境家史郎・東大大学院教授(政治学)は、ポスト石破は右傾化の動きが強まると予想しながらも、「安倍晋三首相は保守派が反発するようなこともやっていた」。韓国との慰安婦合意に応じたり、「同一労働同一賃金」や「女性活躍」などのリベラル政策をあげた。(朝日新聞デジタル2025年9月13日)

伝統的に日本の有権者の支持を集めてきた自民党の政策は、必ずしも「保守一本足打法」ではなかったのである。

では、「保守」とはなにか?「広辞苑」によると、「旧来の風習・伝統を重んじ、それを保存しようとすること」。ちなみに「リベラル」とは?「個人の自由、個性を重んじるさま。自由主義的」。日本で「保守」という場合、その歴史から、憲法改正に積極的(改憲派)であったり、集団的自衛権の行使を支持したり、伝統的な家族形態を重視(選択的夫婦別姓に反対)、原子力発電を維持、首相の靖国神社公式参拝に賛成の人が多い。

配信元: J-CASTニュース

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