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痛みの原因は別にあるかもしれない…診察で、医師の「ひらめき」「洞察」が働く患者とは?【臨床医が解説】

痛みの原因は別にあるかもしれない…診察で、医師の「ひらめき」「洞察」が働く患者とは?【臨床医が解説】

きっかけは、患者のふとした言葉やわずかな態度

医師のひらめきは、単なる感覚的な直感ではありません。長年の経験や知識の蓄積の上に、小さな情報がきっかけとなって生まれる新たな発想の芽生えです。そして、そのきっかけは、患者のふとした言葉やわずかな態度の中に潜んでいます。

たとえば、耳の痛みを訴える患者が「痛みが強くなった」と話したあとに、「食事の時に悪化する」と何気なく付け加えたとします。

この一言によって、医師の思考は耳の疾患のみならず、顎関節や唾液腺の疾患の可能性へと広がっていきます。こうした小さな気づきの積み重ねが、診断の精度を上げていくのです。

医師の気づきは、患者とのかかわり方によって大きく左右されます。焦らず、落ち着いて、自分の身体の状況を伝えることのできる人の言葉には、診断のヒントが多く含まれています。

一方で、医師と敵対的に向かい合ってしまうと、医師は起こっている病気の本質が見えにくくなってしまいます。

「痛くてつらい」「なんとかしてほしい」などの訴えが強すぎたり、以前の治療で完全に回復しなかったなど負の感情が前面に出ると、医師の対応は責められることのないよう、防衛的な方向に傾きます。

医師のひらめきを呼び寄せる人は、単に情報を伝えるのみではなく、医師の思考を自然に動かし、言葉の奥から答えを引き出すことのできる人なのです。

話が広がり、肝心の情報にたどり着かないと…

一方、医師のひらめきを妨げてしまう人もいます。それは、必ずしも故意によるものではなく、無意識のうちに診療の流れを乱してしまう人です。具体的には次のようなタイプが挙げられます。

第一に、話が長く、要点がぼやけてしまうタイプです。

医師が「いつから痛みがありますか」と尋ねると、「それがですね、三日前に孫が来て、その時は大丈夫だったんですけど、庭で一緒に遊んで、そのあと買い物に行ったんですけど……」と話が広がり、肝心の「いつ」が分からない。

医師は情報を整理することに労力を奪われ、集中が途切れていきます。

第二に、前医への不信感を過度に訴えるタイプです。

「前の先生には話を聞いてもらえなかった」「その薬は前にも処方されたが効かなかった」などと否定的な話を繰り返されると、医師の思考は防御的になっていきます。

「自分の説明も否定されるかもしれない」と感じてしまうと、医師の説明はより批判されにくい“守り”に傾いていきます。

第三に、医師の話を遮って自分の意見を挟むタイプです。医師が考えを言葉にして整理している最中に別の話題が割り込まれると、思考の流れは分断されます。

こうした状況に遭遇すると、医師の判断は、柔軟な思考の中で育まれるのではなく、教科書の基本から外れないように、あるいは後に判断ミスを指摘されないようにという防衛的な判断を優先していきます。

結果として、診療はより教科書的で機械的なものに傾き、規格化された最低限の医療を提供するにとどまってしまいます。

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