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痛みの原因は別にあるかもしれない…診察で、医師の「ひらめき」「洞察」が働く患者とは?【臨床医が解説】

痛みの原因は別にあるかもしれない…診察で、医師の「ひらめき」「洞察」が働く患者とは?【臨床医が解説】

医師の思考が活性化するとき

診療の現場で、医師の思考を育むものは安心感です。患者との間に落ち着いた会話が成立すると、医師の頭の中ではいろいろな考えが広がり、「もしかしたら」という新たな視点が生まれます。

反対に、強い不信感や敵意を感じると、医師の思考は防御的で機械的になります。「誤解されるかもしれない」「不用意なことを話すと攻撃されてしまう」、そんな不安がよぎると、思考の幅は狭くなり、ミスや誤解を避けた最小限の説明で診察を終えようとする傾向が強くなってしまいます。

診察する医師もまた人間です。信頼と安心感の空気がある診察室では、思考が自然に広がり、柔軟で創造的な発想が生まれていきます。逆に、緊張や不信感が漂う空間では、思考は萎縮して防衛的になります。

診察室で大切なのは、言葉だけではありません。表情、うなずき、沈黙の「間」などの非言語的な要素も、医師の思考に大きな影響を与えます。

医師が話しているときに、患者が軽くうなずく。そのわずかな反応が、医師に「話が伝わっている」という安心感を与えます。

反対に、無表情であったり、うつむいたままだと医師は不安になります。「話が難しかったのか」「誤解されていないか」と考え、理解しているかを確認したり、言葉を換えて繰り返したりと、説明にエネルギーを費やします。

もちろん、医師の説明が理解しにくい場合には、その確認はとても有効です。しかし、理解できたかどうかをしっかり伝えることができれば、それだけで医師の負担は軽減され、より深い思考へと進みやすくなります。

また、会話の間に訪れる沈黙にも、質の違いがあります。

落ち着いた「思考の間」は、医師にも余白を与えます。しかし、焦りや怒りを含んだ沈黙は、医師に緊張を伝え、思考の流れを乱します。診察室の空気は、医師の思考の質を決める大切な要素です。

医師のひらめきは、患者とともに作られる「空気」によって支えられているのです。

カルテが整うと経過が明確に確認できるようになる

医師がひらめきを得やすい患者とは、どのような人でしょうか。もう一度、整理してみましょう。

それは、次の三つの特徴を備えた人です。

一つ目は、自分の身体の変化を冷静に観察できる人です。感情に流されず、いつ、どんなときに、どのように症状が起こるかを具体的に語ることのできる人は、医師に診断の手がかりを多く与えます。

二つ目は、医師の話を最後まで聴ける人です。説明を遮らず、聴きながら理解しようと努めることのできる人は、医師の思考の流れを妨げません。

三つ目は、信頼を前提に対話できる人です。医師の提案を一度受け止め、その上で質問をする。この「受け止めてから考える」姿勢が、医師の心を開き、思考を広げていきます。

このような患者の場合、診療記録(カルテ)は整然としたものになります。そして、カルテが整うと経過が明確に確認できるようになります。

このようなカルテを残す患者の場合、わずかな異変が訪れたときに、その変化がカルテの上に明確に現れ、医師はいち早く的確に対応することができます。

良い患者は、良いカルテを残します。それは、医師の思考と判断を支える大きな力となります。

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