皮ごと食べて食物繊維も摂れるキンカンの魅力
キンカンの果実は、年末頃から2月に多く流通します。生産地は宮崎県が7割を占め、2割が鹿児島県です。また宮崎県のビニールハウスなどでは完熟果実を収穫し、甘味が強く高品質な果実が流通しています。
ビタミンCやEが多く含まれ、皮ごと食べられるので貴重な食物繊維もたくさん取り入れることができます。ほかにポリフェノール、クエン酸などが含まれ、栄養成分が豊富です。
キンカンの蜂蜜漬け

のどの傷みや咳、初期の風邪などに、キンカンが昔から薬用に使われてきました。キンカンの蜂蜜漬けは、皮に含まれる成分のヘスペリジンが炎症を抑え、蜂蜜の抗菌作用も期待できます。
作り方は簡単で、キンカンをよく洗い、串などで穴を多くあけてから蜂蜜に漬けるだけで出来上がりです。果実は空気に触れないよう、たっぷりの蜂蜜で漬けてください。3~4日で食べ頃になります。冷蔵庫で保存すれば、1カ月程度持ちます。
キンカンの仲間6選
以前はキンカン属(Fortunella)とされていましたが、現在はミカン属に分類されています。キンカンとして入手可能な7種類の仲間を紹介します。
ネイハキンカン Citrus japonica ( = Fortunella crassifolia )

ニンポウキンカン(寧波金柑)や、メイワキンカン(明和金柑)などの別名があります。球形から卵形の果実の重さは11〜13gと大きく、酸味や苦みが少ないので生食に向きます。
種無しキンカン・プチマル
種子がほとんど無い人気の品種で、苗木の流通も多いです。皮に苦みもなく甘味が強い、生食して美味しいキンカンです。ネイハキンカンとナガキンカンの交配種で、やや楕円形の果実は重さ8~11gほどです。
ナガキンカン Citrus japonica ( = Fortunella margarita )

高さ3mほどとやや大型になり、トゲはほとんどありません。楕円形の果実の重さは10〜12gで、果肉は酸味が強く、主に観賞用として育てられます。実が大きくたくさん収穫できるので、蜂蜜漬けやジャムにするとよいでしょう。
マルキンカン Citrus japonica ( = Fortunella japonica )

名前の通り、果実は丸く小さい果実が実り、重さは6~8gで果肉には酸味があります。
大実キンカン Citrus × obovata ( = Fortunella obovata )

福州キンカンの別名があります。果実が大きく、重さは30~40gで見栄えがします。酸味が強く、生食には適しません。
キンカンライム Citrofortunella ×floridana

マルキンカンとキーライム(メキシカンライム)の交配種で、耐寒性は両種の中間くらいです。ライムクアット(Limequat)の英名があります。木が小さくても実がよくなり、四季咲き性が強い性質です。
キーライムは寒さに弱いので、冬は鉢植えを室内に置いたり、ビニールハウス内で育てたほうがよいでしょう。木が小さい場合は特に保温に配慮してください。
実が青いうちはライムのような味ですが、黄色く熟すとレモンのような味といわれます。完熟すると甘い品種もあります。
