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あっという間に中国と切っても切れない関係に…それでもこれまでの投資額で断トツの日本が「インドネシア」にとって重要である理由

あっという間に中国と切っても切れない関係に…それでもこれまでの投資額で断トツの日本が「インドネシア」にとって重要である理由

2010年代半ば、第一次トランプ政権下で米中関係は急速に悪化し、バイデン政権を経ても大きく改善することはなく、米中新冷戦に進む危惧が叫ばれるようになってきました。さらに第二次トランプ政権では、米国自身がこれまでの国際秩序をひっくり返そうとしているかのような動きを見せています。今回は、三尾幸吉郎氏の著書『図解 中国が変えた世界ハンドブック──9主要国の国益と対中関係から考える、米中新冷戦回避への道』(白桃書房)より、インドネシアについて経済面の特徴を解説し、米中の緊張を和らげるために何ができるのかを考えていきます。

20年で日米の存在感が薄れ、飛躍的に高まった「中国の存在感」

インドネシアと中国の貿易関係を見ると、中国側の統計(2021年)では、インドネシアへの輸出が607億ドル、インドネシアからの輸入が636億ドルで、中国から見ると30億ドルの輸入超過(インドネシアの輸出超過)となっています。中東産油国などと同様にインドネシアも対中貿易が黒字です。インドネシアにとって中国は最有力な貿易相手国と言えます。

輸出先トップ10を見ると、中国が2位以下を引き離して第1位で、第2位(米国)と第3位(日本)を合計したほどの規模です(図表8)。輸入元トップ10を見ても(図表9)、中国はトップで日本の3倍を超えています。

出典:CEIC(出所はIMF)のデータを元に筆者作成 [図表8]インドネシアの輸出先ランキング(2021年)出典:CEIC(出所はIMF)のデータを元に筆者作成 出典:CEIC(出所はIMF)のデータを元に筆者作成 [図表9]インドネシアの輸入元ランキング(2021年) 出典:CEIC(出所はIMF)のデータを元に筆者作成

20年ほど前(2000年)には、輸出先の第1位は日本で、第2位は米国と、中国は目立ちませんでした。また当時は輸入元としても日本が第1位で、第2位がシンガポール、第3位が米国で、中国は目立ちませんでしたので、この間にインドネシアでは日米の存在感が薄れ、中国の存在感が飛躍的に高まったことが分かります。

他方、中国から見てもインドネシアは有力な貿易相手国です。輸出先としては第16位(図表10)、輸入元としても第11位です(図表11)。

出典:CEIC(出所はIMF)のデータを元に筆者作成 [図表10]中国の輸出先トップ30(2021年、2011年、2001年) 出典:CEIC(出所はIMF)のデータを元に筆者作成 出典:CEIC(出所はIMF)のデータを元に筆者作成 [図表11]中国の輸入元トップ30(2021年、2011年、2001年) 出典:CEIC(出所はIMF)のデータを元に筆者作成

GDP第17位…ASEAN最大の経済規模

インドネシアのGDP(国内総生産)は約1.2兆ドルと世界第17位(2021年)で、ASEANでは最大の経済規模です。経済成長率は過去30年平均4.8%と世界全体の同3.3%を上回っています。

東西冷戦終結でグローバリゼーションが進み始めた1990年代前半には外資が流れ込み高成長を遂げましたが、アジア通貨危機が起きた1998年にはマイナス成長に大きく落ち込みました。しかしその後は世界平均をやや上回るペースで成長しています。

出典:IMFのデータを元に筆者作成 [図表12]インドネシアの実質成長率 出典:IMFのデータを元に筆者作成

経済的な豊かさを示す1人当たりGDPは4400ドルほどで世界第117位と、第126位のベトナムよりやや豊かですが、マレーシアには及びません。中国にはアジア通貨危機のときに追い越されて以降、その差は拡大しています。

なお、インドネシアの産業構造は農業国型・資源国型・観光国型で、需要構成は外需依存型・投資主導型です。

出典:IMFのデータを元に筆者作成 [図表13]1人当たりGDP(インドネシアと中国) 出典:IMFのデータを元に筆者作成 (注)世界位置は(中国の順位-1)÷(対象国数-1)で計算

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