投資額は米中の倍以上…インドネシアで圧倒的存在感の日本企業
インドネシアと中国の投資関係を見ると、中国の対インドネシア直接投資累積額は180億ドルほどです。インドネシアGDP比で1.7%とその影響は大きいと言えます。米国もインドネシアに約187億ドルとほぼ同規模の投資をしていますが、その差は縮まりつつあります(図表17)。
[図表17]日米中のインドネシアへの直接投資累積額 出典:OECD、中国商務部のデータを元に筆者作成
ただし、日本の自動車産業や大手商社、それにヤクルトや味の素のような食品メーカーが進出していることもあって、日本の対インドネシア直接投資累積額は約383億ドルと、米中両国の2倍を超えており、インドネシアでは日本の存在感の方がはるかに大きいと言えます。
インドネシアの産業構造は、「20年前の中国」とほぼ同じ
インドネシアの産業構造は20年ほど前の中国に似ています。総付加価値(TVA≒GDP)の産業構造を見ると(図表18)、第一次産業の比率は世界平均(4.3%)を大幅に上回り、鉱業・エネルギー等供給業も世界平均(6.1%)を上回り、製造業も世界平均(16.7%)を上回っています。一方、第三次産業は世界平均(67.2%)を大幅に下回っています。
[図表18]インドネシアの産業構造(2011~20年平均) 出典:国連のデータを元に筆者作成
これは20年ほど前の中国とほぼ同じです。第一次産業が15%前後、鉱業・エネルギー等供給業が1割前後、製造業が3割前後、第三次産業が4割前後でした。
将来的に中国のような製造大国になるとしても、現在の製造業はまだまだ発展途上です。両国の貿易はインドネシアが食品、エネルギー、工業原料を中国に供給し、中国が工業製品・部品・素材・生活用品をインドネシアに供給する構造となっているからです。
なお、インドネシアでは国営企業の存在感が強く、国営企業全体の売上高はGDPの約15%に相当する規模があります。この点では中国に似ている面があります。
他方、国内総生産(GDP)の需要構成を見ると(図表19)、インドネシアは純輸出等がプラスとなっており、中国と同様、輸出で外貨を稼いでいます。また投資についても、中国と同様、総固定資本形成(≒投資)が世界平均(25.0%)を上回っており、インフラや生産設備の拡充を進めています。
[図表19]インドネシアの需要構成(2011~20年平均) 出典:国連のデータを元に筆者作成
