◆タクシーを探していると背後から男が
日常の場面で実際に“使用”に踏み切らざるを得なかったケースもある。都内の会社に勤める佐藤美香さん(仮名・28歳)は、友人たちと飲み会を終えた深夜、思わぬ恐怖体験に巻き込まれた。「気づいたら時間が午前3時を過ぎていて、タクシーを探していたんです。そしたら突然、後ろから“飲まない?”って声をかけられて。振り返ると30代くらいの男が近づいてきて……最初は無視したんですが、酔っているのか全然話が通じなくて」
◆正真正銘の“必需品”となってしまった催涙スプレー
佐藤さんが催涙スプレーを携帯していたのは、以前から“深夜帰宅の不安”を抱え、備えていたからだ。「肩とか腰に手を置こうとしてくるし、道を塞ぐように立ってきて……。『やめてください!』って声を上げても、そのときにはもう、興奮していて理屈が通じない感じで」
逃げようとした瞬間、男が腕をつかみ、近くの路地へ引きずり込もうとした。
「気づいたらバッグの中に入れていたスプレーを握り、そのまま噴射してました」
1秒にも満たない噴射。しかし効果は十分だった。
「相手は苦しみながら倒れ込んで、私は全力で走って逃げました。あとで警察に相談したら、『正当防衛の可能性が高い』って言われました。でも、それ以来怖くて……今は家にもストックしてます」

