◆キャバ嬢に貢ぎ過ぎて毎月、困窮していた

「もしかすると複雑な家庭の事情とかがあるのかなと思って、生活に困っている理由は聞かないでいました。
でも給料日を過ぎても事務所に置いてあるお土産のお菓子を大量に持ち帰ったり、相変わらずコンビニでシュガーをパクッて砂糖水を飲んだり、常に極貧状態っぽいんですよね。
そんなふうに何とか生き繋いでいる様子の山本君を見て、とうとう我慢ならずに聞いてみたんです。『何にそんなお金使ってるの?』って。
すると、彼は『好きな子がいて……喜んで欲しくて!!』って答えたんですよ。恋愛してるのは悪いことじゃないですけど、それでなんでお金がすぐになくなるのかって思いますよね。
よくよく聞いてみると相手はどうやらキャバ嬢で、頻繁に通って貢ぎ過ぎた結果、自分のご飯もろくに食べられないほどお金に困っていたみたいなんです」
好意的に解釈すれば「純粋で恋愛に一途」と言えるが……。
「あまりにも計画性がなさすぎますよね。しかも話を聞く限り、キャバ嬢には適当にあしらわれて騙されているだけっぽいんです。
まぁ、貧乏なだけだったらまだよかった。コンビニから砂糖を持ってきちゃうのはダメだけど、それ以外は誰かに迷惑をかけているわけじゃないしな……なんて考えていた僕が甘かった。山本君、入社してからずっと、ある不正を働き続けていたようなんです」
◆滅多なことでは声を荒げない温厚な部長が大激怒
ある日、田中さんは山本君が部長に怒られているところを目撃した。「部長は滅多に怒らない温厚な上司なんですけど、山本君には『毎回言ってるのになんでやめないんだ!』って凄い剣幕で怒鳴りつけていたんです。
でも、部長が腹を立てるのも無理はありませんでした。――だって彼は入社してからずっと、会社のガソリンカードで自分の車に給油していたらしいんですよ(苦笑)。
しかも部長はその山本君の不正にかなり前から気付いていて、何度も注意していたらしいんです。
そのたびに彼は『すみません、もう二度としません』と反省した様子で必死に謝るのに、翌月にはまた会社のカードで自分の車に給油してバレる――これを繰り返していて、さすがの部長も堪忍袋の緒が切れたということでした」

