チェックイン手続きの自動化進展、ホテルタイプで満足度に差
宿泊特化型ホテルを中心に、自動チェックイン機やスマートフォン・QRコードを用いたセルフチェックインが普及している。本調査によると、ミッドスケールおよびエコノミーホテル部門において、自動チェックイン機を利用した宿泊者の割合が前年比10ポイント以上増加し、約30%に達した。
「チェックイン/チェックアウト」の満足度を見ると、アッパーアップスケールやアップスケールといったフルサービス型のホテル部門では、フロントでスタッフと対面での手続きによるチェックイン(対面型)の満足度が高い一方、エコノミーホテル部門では自動チェックイン機の方が高い満足度を示した。特に対面型と比較して「チェックインの迅速さ」への評価が高く、滞在目的や顧客像によって求められる価値が異なることがうかがえる。一方で、フルサービス型ホテルではスタッフによる丁寧な対応やあたたかいお出迎えが満足度を支える要素になっていると考えられ、対面対応の価値は依然として重要であろう。
[図表2]チェックインの方法とチェックイン/チェックアウト時の満足度
スタッフによる積極的な対応が満足度を大きく左右
チェックイン時にスタッフから「目を合わせての挨拶や会話」や「スタッフ自ら進んでの挨拶や声掛け」、「スタッフの気遣いや配慮を感じる声掛け」があった場合と、なかった場合を比較すると、いずれの部門でも総合満足度に100ポイント前後の差が見られた。この結果から、自動化が進むエコノミーホテル部門であっても、人的対応の質が満足度に強く影響することが明らかになった。
[図表3]スタッフの対応と総合満足度
今後もホテル業界では、省力化・効率化を目的とした自動化・非対面化の動きが一層進むと見込まれる。その中で、宿泊客に対して「気遣い」「安心」「信頼」といった人ならではの提供価値をどのように届けるかが、ホテル運営における重要な課題となる。
デジタル化が進展する今こそ、業務効率とホスピタリティを両立し、スタッフ対応を含めた体験価値をいかにデザインできるかが、ホテルブランドの競争力を左右するカギといえる。
